ハラスメント
前回の続きです。https://pluxpr.wordpress.com/2015/03/24/性別に関連するイジメはセクシャル・ハラスメントまたはジェンダー・ハラスメントで、立場の上下によるイジメをパワー・ハラスメントまたはモラル・ハラスメントといいます。日本ではセクシャル・ハラスメント、セクハラが問題になりましたが、韓国はパワー・ハラスメント、パワハラが社会問題になっています。ナッツリターン事件も、副社長が立場を利用し、機長や乗務員の権限を越えて、乗客の安全に関わる指示を強要したことから実刑判決に至ったものです。ところで、韓国では有意な立場(=甲)を利用して不当な要求や行為を行うことを甲(カプ)チルといい、弱い立場を乙と表現しています。この甲による乙への甲(カプ)チル=ハラスメントは、上下を重視し、上下に拘る韓国では、以前からあった問題で、最近になって表面化するようになったといわれています。甲と乙の話題では、甲の乙に対する強迫が議題となり「甲」の非が強調されますが、甲だけの問題なのでしょうか。日本はお客様第一主義で、韓国は社長第一主義。お客様第一主義では、スタッフにも相応の責任が求められます。お客様満足を高めるため、お客様や会社に対する説明責任と実行責任が生じます。スタッフはまた、すべてのお客様に目を配らなければなりません。一方の社長第一主義では、社長の言動に目を配り注意を払います。自分で考えて判断せず、社長の指示に従います。社長に対する責任は負いますが、お客様や会社に対する責任は負いません。社長から言われたことをやり、「社長の指示に従った」とだけ言っていれば、言質を取られ、責任を追及されることはありません。リターンを命じられた機長は、立場的に副社長に逆らうことはできなくても、「乗務員は保安要員であり、乗員を降ろすと保安体制の欠陥につながる」と言えばリターンはなかったかもしれず、少なくとも第二・第三の’リターン事件’を防ぐこともできるのはないでしょうか。副社長が常務に向かって言った「私のどこが間違っているの」という言葉を、報道では’横暴’と解していますが、或いは本当に知らなかったのかもしれません。甲のわがままに対しては、諭すよりも黙って従う方が、その場のリスクも個人のリスクもないので、副社長に諭す人は誰もいなかった可能性もあります。小売店でも、探しているものを聞いてくるので、とりあえず欲しいモノを伝えると、そのモノだけを提示するか、なければ「ない」の一言で終わることが多々あります。それ以上の提案はなく、表面的な’言葉’への対応に終始します。甲には甲の性質が染み付いていますが、乙にも’乙’の性質が染み付いたままで、そこから生じる甲と乙のズレや対立構造が「甲(カプ)チル=パワハラ」の根底にあるのかもしれません。————————————————————■…
パワハラ
ソウル新聞が日本向けに発行している「TESORO」というタブロイド紙の3月号でパワハラを取り上げています。パワハラといえば、ナッツリターン事件が記憶に新しいところですが、ほかにもアパートの警備員が住民のいじめに耐え切れず自殺した事件や百貨店の駐車場係りを跪かせた客などの事例を紹介しています。ナッツリターンは客室乗務員のナッツの提供に腹を立てた大韓航空の副社長が、離陸態勢に入っていた機体を戻すように命じて責任者を下ろした事件で、安全もさることながら雇用主によるパワハラが争点になっています。また、同紙によるとアルバイトの90%以上がパワハラを経験しており、雇用主によるパワハラがもっとも多く、客、上司と続きます。韓国のパワハラによる鬱はとても深刻で、鬱で退職する人や自殺者も出ていて、福利厚生として鬱対策に取り組む企業もあるといいます。なぜ、深刻なパワハラが起こるのか。韓国では上下関係を重視します。住んでいる場所や部屋の広さまで持ち出して上下を意識することすらあるといいます。この上下関係は、専門家によればかつての家父長制に由来するということですが、家父長制は韓国特有ではなく、日本にもかつては絶対的な家父長制があり、他の国にも似たような慣習はあります。韓国は社長第一主義の国ですが、そもそも社長>役員>部長>課長・・・という序列も韓国特有ではありません。日本には社長や取締役などの権限は肩書きに属すという考え方があります。職場における上下関係は「人」ではなく「肩書き」に由来するという考えで、肩書きを持つ人は肩書きに応じた権限を持ち、責任を果たしますが、言い換えれば、肩書きがなくなれば同時に権限も責任もなくなります。韓国は「肩書き」が「人」に由来するケースが多々あります。財閥企業なのオーナー家の人々など、当然のように権限をもつ肩書きに就きます。「人」が肩書きを持ち続けることから、権限は広い範囲に及びます。殺生与奪の権限を併せ持ちつこともあって、組織内で絶対の権限をもちます。…
合弁と意思決定 その3
旧正月はいかがでしたか?さて、韓国はもともと中央集権国家で、日本は合議制封建国家でした。https://pluxpr.wordpress.com/2015/02/03/日系企業・日本企業が韓国企業を訪問すると、即決を求められる場面が多々あります。日本式の合議制封建社会のもとでは、重要な意思決定は1人では行いません。権限の範囲は所属する組織内に限られ、子会社や部門とも協議なり、根回しをすることが多々あります。個人ではなく連帯で意思決定を行い、連帯で責任を取る仕組みです。権限が所属する組織に限られるシステムは封建制、社内協議や根回しは合議制を踏襲しています。現地法人等で、担当者が起草して(韓国の)責任者が承認したあと、日本社の稟議を諮る等の手順も一種の合議制といえるでしょう。一方の韓国はというと中央集権制。中央集権のもとでは、中央政府から任命された官吏が中央の権限を代行して裁定を下しますが、同じように韓国企業側の商談相手は、会社のすべての権限を行使します。単独で意思決定し、単独で責任を取る仕組みです。表題にある合弁における意思決定では、日本側は合議制封建主義に則って、話し合いでの解決を求めるのが一般的ですが、一方の韓国側は担当者が単独で意思決定を行います。短期での結論が必要な場面では、勢い単独の意思決定に慣れている韓国側担当者の意見が通りやすくなりがちです。この意思決定のシステムは、責任者はもちろんのこと、一般社員まで浸透しています。日本では「社長、専務、部長などの役職は、その役職に与えられた役割を果たす責任者」とすべての社員が認識しています。社長といえども他の役員、他の役職者の権限を侵すことはできません。一方の韓国はというと社長第一主義。本人はもとより全スタッフが、「社長は全権をもつ人」と認識しています。合弁に限らず、現法社長や支店長などの現地責任者が日本社の稟議を得る場面を見て、日本人社員は日本社での根回しや協議をしていると考えるのが普通ですが、韓国人社員は日本を見て仕事をしている、あるいは権限がない人と見られかねません。どちらが良いとか悪いとかではなく、文化の違いなので、そういうものだと考えて対処することです。——————————————————————–■…
閑話休題;税金と社会保険
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合弁と意思決定
PLUXは印刷、WEB、販促品をメインとする広告会社です。日系企業等のPRや韓国企業の日本向けPRなど、日本と同等レベルのサービスと日本の広告会社と同レベルの企画提案を行っています。提案を進めるなかで、よく「合弁なので、(合弁)相手先の意向も聞く必要がある」という回答を耳にします。「合弁なので、両社に聞かなければならない」と言われることもあります。さて、日系企業の合弁の多くは、2つに分けられます。まずは韓国ブランドに製品やサービスを提供する合弁企業があります。部品などB…
消費者と安全
本メルマガをお読み戴き有難うございます。今年2014年、最後のからくれないをお送りします。この1年間、広告や印刷に関するテーマのほか、韓国に多い企業本位、つまり社長第一で消費者は二の次、三の次という事例を取り上げてきました。広告の役割は、企業と消費者をつなぐことです。消費者に正しい情報を伝えることはもちろん、消費者の目線で伝えることを意識して仕事に取り組んでいます。消費者の立場に立つ広告マンとして、社長第一主義の悪習を他山の石に消費者本位のサービスが広がる期待から問題ある事例を取り上げています。さて、さまざまな事例のなかで、2014年の韓国における最大のキーワードは「安全」ではないでしょうか。まずは何と言ってもセウォル号の転覆_・沈没事故です。不適切な改造、過積載とバラスト水の操作、操舵のミスが重なって転覆、乗組員が逃げ出したり、海洋警察の不手際もあり、多くの犠牲者を出しました。「想定しうる事故は、いつか必ず起こる」という視点を常にもちながら、事故を防ぐことはもちろん、いざ、事故が起こったときに被害を最小限に食い止める対策も極めて重要なリスクマネジメントです。セウォル号の事故に続いて、4月には地下鉄2号線の衝突事故、また、10月には_盆唐で換気口の崩落事故も起きました。そして、12月にはナッツリターン。大韓航空の(元)副社長がマカダミアナッツの提供の仕方を不服とし、飛行機をゲートに戻すように命じて、乗務員を降ろした事件です。旅客機の乗務員は平常はサービスを提供していますが、本来は保安要員です。降ろされた乗務員は客室内のサービスと「安全を担う」チーフパーサー。乗客の安全を担う責任者が不在のまま飛行したことになります。ちなみにこのチーフパーサー不在を問題視する論調が見当たりませんが、チーフパーサーがいなくても問題ないのか、安全不感症なのか。気になるところです。…
+1(プラスワン)
サービスとは本来、「適正価格をもって提供する付加価値」です。しかし、価格を伴わない無償提供をサービスと考える風潮があり、そのサービス品を韓国では「+1(ワンプラスワン)」と表示しています。この1+1には3つあります。まずは販売促進として実施する無償提供品。新商品や新規販売で使われる手法です。次に在庫整理として行うケース。直近だとペペロデーの売れ残り品など。日本では売れ残り品は大幅値引きが一般的ですが、韓国では価格を下げずに1個プラスして価格を据え置くケースが多々あります。3つめに、はじめから+1(ワンプラスワン)で設定している商品もあります。たとえば、1個800Wの商品をマートなどでは500~600Wで設定したいものの、流通や販売コストから価格は崩しにくい上、さらに単価の安い商品だと、マートや百貨店では良いスペースを確保できず、積極的な販売が期待できません。薄利多売が通用しないのです。そこで、2個セットで1000~1200Wで設定します。「薄利多売」の対義語として、適正価格販売とか、定価販売という人もいますが、「殿様商売」という見方もあります。1人暮らしだと1個で十分な商品も「1+1(ワンプラスワン)」という2個セットしかないのですから、殿様商売です。たとえば1個800W、3個2000Wという商品をみてみましょう。3個買うと、単価667Wなので一見すると得に見えます。ところが2個を消費し、1個が不要となって処分したり、不良在庫可すると、実質的には1個1000W。元の単価だと2個だと1600Wですから400Wの_マイナスです。保存がきく商品とか転売可能な商品だとマシですが、生鮮品だと腐らせるだけ。消費者にとっては迷惑な話で、環境にもよくありません。このような殿様商売は印刷業でもあります。A4判のチラシを作るときなど、1000枚あれば十分なのに、2000枚でも値段は同じといわれた経験がある方も多いと思います。オフセット印刷機はA1判またはA2判なので、A4判のチラシは、8面付けまたは4面付けで印刷したあと断裁します。「印刷工程」は、断裁前のサイズで500枚または1000枚で設定しているので、仕上がりがA4判だと、1000枚でも2000枚でも価格はかわりません。例えば、A2判;500枚で価格を設定している場合だと・・・500枚×4面付け=2000枚250枚×4面付け=1000枚基本枚数(最低ロット)500枚以下だと、何枚印刷しても「印刷工程」は同額ですが、「用紙代」は余計にかかります。1000枚あれば十分なのに2000枚印刷すれば、より多くの紙が必要となり、しかも使い回しができない_と、処分するか不良在庫化するだけ。資源の無駄にもなります。+1(プラスワン)が本当に得なのかどうか、見極めることが大切です。…
1+1(ワンプラスワン)
韓国のマートやコンビニなどに行くと1+1をよくみかけます。キャンペーンの+1もありますが、はじめから+1を前提に企画されている商品も少なくありません。…
公平性
使っているPCの電源ケーブルにトラブルが起こり、A/Sに持ち込みました。日本で購入した人は無償交換も可能だそうですが、韓国では無償交換には対応していないということで、同じメーカーでも国よって対応が違うようです。同じメーカーでも地域や店舗によって対応が異なることが往々にしてありますね。さて、日本では新聞折込広告が普及しています。ある店がA新聞とB新聞に割引クーポン付チラシを折込みました。A新聞の購読者AさんとB新聞の購読者Bさんは、クーポンを持っています。C新聞を講読しているCさんはクーポンがありません。クーポンをもっているAさんとBさんは、当然、割引の対象ですが、クーポンを入手できないCさんはどうなるのでしょうか。結論は、クーポンを折込んだ新聞とエリアが特定対象か不特定対象かで判断がわかれます。特定対象と判断される適正な事由があればCさんは割引対象外ですが、特定対象と判断できる適正事由がなければ、店の(予算の)都合で配布しなかったCさんにも(クーポンを持っていなくても)同じサービスを提供するのが原則です。特定対象とは、たとえば、カード会員など特定者を対象にしたDMは、そのDMを受け取った人を限定対象とする「特定事由」になります。誰でも会員になる権利を持っている場合、会員になるかどうかは消費者の自由意志だからです。また、カカオトークの「友達」を対象にしたキャンペーンを実施している店がありますが、カカオトークはスマホさえあれば、誰でも「友達」登録ができます。スマホを持つかどうか、カカオトークで「友達」登録するかどうかは消費者の自由意志です。広告やキャンペーンを企画するときには、特定者を対象とするか、不特定者を対象とするか、それによってPR方法が変わってきますし、当然、特定対象か不特定対象かで、会社あるいは店舗の対応もかわってきます。会社あるいは店舗の対応について、お客様と接するすべてのスタッフに徹底する必要もあります。B…
取引代金の支払
日本企業の多くは、定期的な取引の代金清算で、末締め翌月20日払いとか末締め翌末日払いなど、締め日と支払日を「後払い」で決めています。スポット取引は会社によってさまざまで、たいていは相対で決まります。韓国では、定期・スポットに関わらず、発注時または納品時払いなど「先払い」が一般的です。PLUXでも販促品など短期案件でかつ見積額が変動しないものは発注時、印刷物やホームページ製作など見積額が変動するものは、発注時に着手金、納品時に残金を原則としています。また、長期に渡る案件では中間金を設定することもあります。韓国にある日系企業のなかには、日本社と同様、締め日と支払い日を定めている会社が少なくありません。スポット取引でも同じルールを適用している会社もあります。かつて、20日締め同月末日払いという会社を担当したことがあります。手形や小切手ではなく現金振込です。複数店舗を運営する小売店で後払いとはいえ、日本の同業種と比べて、定期的な取引としては最短期間での支払いです。一般にビジネスにおける代金の流れをみてみると、(1)仕入れ>販売>代金回収>仕入れ代金支払いとなるケースと、(2)仕入れ・代金支払>販売>代金回収、あるいは、(3)代金支払>仕入れ>販売>代金回収など販売代金を回収する前に代金支払が発生するケースがあります。(1)のパターンは資金繰りを考える必要はほとんどありませんが、(2)のパターンでは、預貯金の取り崩しや銀行借入など、資金繰りリスクを考える必要があります。 そして、この資金繰りにかかるリスク(費用)は販売代金に転嫁するのが原則です。…
サービス品質(マートとスーパー)
先週のテーマに書いたように、サービスとは「適正な対価と引き替えに提供する付加価値」です。いまだに馴染めない、韓国で一番困ったのは、実はマートのレジです。買物客がレジ台の上に商品を並べて、レジ係は計算するだけ。それもPOSの端末をあてるだけです。数量が少ないときに、カゴをそのままレジ台に載せたことがありますが、商品を出して並べるよう、レジ係に命じられました。…
価格と品質その3
味はそれなりだけど、対応・サービスが良い店。対応・サービスは良くないけど味が良い店。どちらが良いでしょうか。日本人は良い接客をサービスと考え、韓国人はモノをサービスと考える傾向がありますが、商売におけるサービスとは「適正な対価と引き替えに提供する付加価値」です。ファーストフードのメニューにあるスマイル0円などは原価がかかりませんが、モノであれば提供する側に経費が生じます。適正な対価を伴わないサービスには限界があり、知らぬ間に価格に転嫁されたり、また、従業員の待遇に転嫁されることも珍しくありません。…
