+1(プラスワン)

サービスとは本来、「適正価格をもって提供する付加価値」です。

しかし、価格を伴わない無償提供をサービスと考える風潮があり、そのサービス品を韓国では「+1(ワンプラスワン)」と表示しています。

この1+1には3つあります。
まずは販売促進として実施する無償提供品。
新商品や新規販売で使われる手法です。

次に在庫整理として行うケース。
直近だとペペロデーの売れ残り品など。
日本では売れ残り品は大幅値引きが一般的ですが、韓国では価格を下げずに1個プラスして価格を据え置くケースが多々あります。

3つめに、はじめから+1(ワンプラスワン)で設定している商品もあります。
たとえば、1個800Wの商品をマートなどでは500~600Wで設定したいものの、流通や販売コストから価格は崩しにくい上、
さらに単価の安い商品だと、マートや百貨店では良いスペースを確保できず、積極的な販売が期待できません。
薄利多売が通用しないのです。
そこで、2個セットで1000~1200Wで設定します。

「薄利多売」の対義語として、適正価格販売とか、定価販売という人もいますが、「殿様商売」という見方もあります。
1人暮らしだと1個で十分な商品も「1+1(ワンプラスワン)」という2個セットしかないのですから、殿様商売です。

たとえば1個800W、3個2000Wという商品をみてみましょう。
3個買うと、単価667Wなので一見すると得に見えます。
ところが2個を消費し、1個が不要となって処分したり、不良在庫可すると、実質的には1個1000W。
元の単価だと2個だと1600Wですから400Wの_マイナスです。

保存がきく商品とか転売可能な商品だとマシですが、生鮮品だと腐らせるだけ。
消費者にとっては迷惑な話で、環境にもよくありません。

このような殿様商売は印刷業でもあります。

A4判のチラシを作るときなど、1000枚あれば十分なのに、2000枚でも値段は同じといわれた経験がある方も多いと思います。
オフセット印刷機はA1判またはA2判なので、A4判のチラシは、8面付けまたは4面付けで印刷したあと断裁します。
「印刷工程」は、断裁前のサイズで500枚または1000枚で設定しているので、仕上がりがA4判だと、1000枚でも2000枚でも価格はかわりません。

例えば、
A2判;500枚で価格を設定している場合だと・・・
500枚×4面付け=2000枚
250枚×4面付け=1000枚
基本枚数(最低ロット)500枚以下だと、何枚印刷しても「印刷工程」は同額ですが、「用紙代」は余計にかかります。

1000枚あれば十分なのに2000枚印刷すれば、より多くの紙が必要となり、しかも使い回しができない_と、処分するか不良在庫化するだけ。
資源の無駄にもなります。

+1(プラスワン)が本当に得なのかどうか、見極めることが大切です。

kazNewsweek記者

投稿者プロフィール

広告プランナー兼フォトグラファー。広告印刷とWEBプランニングに従事して早20年。日系企業の韓国ビジネスに詳しい。韓国経済や社会文化情報の発信を行い、外国人生活モニターとしてソウル市に改善提案を行っている。
週末には日韓米豪いろんな国の人たちと趣味の音楽を愉しんだり、カメラ片手にソウルや近隣をここかしこ徘徊したりしています。

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