カードとVAT
- 2014/10/28
- 韓国生活と文化
韓国の最高額貨幣は5万Wで最低額貨幣は10W。
10W以下は税金の端数計算くらいしか使わず、しかも桁数も多いのでデノミネーションを実施しても良さそうにも思いますが、その気配はありません。
現金で家電など、ちょっとした買い物をしようと思えば、札束を持って歩くことになりかねません。
以前、東南アジアへ旅行したときに、ホテルのレストランで札束で払い、ちょっとした金持ち気分を味わったことがありますが、旅行者ならともかく、居住者にとっては面倒。
自然とカードで支払うことになります。
消費者にとって、カードで払うメリットは現金を持ち歩かなくてよいことです。それと万一、紛失や盗難にあった場合、現金は名前が書いていませんが、カードは記名しているし、カード会社に紛失届けを出せば、以後の使用をとめることができます。
事業者にとって、カードで決済するデメリットは、カード手数料の負担。
一方、メリットは売上計算、さらには(VAT)付加税の計算が楽なことです。
日本の消費税は、事業規模によって原則課税、簡易課税、免税があり、選択制となっていて、課税方式も、さらには課税売上を認識するルールも選択制となっています。
つまり、消費税を計算するシステムの構築は困難です。
韓国の付加価値税は、原則課税しかなく、付加価値税は税金計算書またはカード払いだと、計算システムの構築はとてもシンプルです。
事業者にとって、計算が容易なシステムですが、言い換えれば、国税にとっても課税が容易で、確実に徴収できるシステムです。
日本の消費税は事業者の自己申告に委ねるシステムで、韓国の付加価値税は事業者の思惑が介在しないシステムということもできます。
現金入金であれば、いくら売り上げたのか、事業者自身の自己申告がないと、国税はその売上を知る術はありません。
というより、その自己申告を信じるしかありません。
カード入金や口座入金は記録が残るため、事業者の判断(思惑)が介在する余地はありません。
デノミを実施しないのも、高額貨幣を作らないのも、カード払いに誘導して事業者の売上を記録に残し、事業者の売上を把握し、付加税徴収を確実にするためと考えることもできます。