韓国の宗教〜仏教・キリスト教の歴史と現在
韓国は人口の6割が無宗教で、信仰を持つ人ではプロテスタント(改新教)、仏教、カトリックの順に多い。古い資料では仏教が最多と書かれていることが多いが、現在はプロテスタントが上回っている。ここでは現在の宗教人口と、仏教・キリスト教それぞれの歴史を整理する。
現在の宗教人口
韓国ギャラップが1983年から継続している「韓国人の宗教」調査によると、2025年時点で「信じている宗教がある」と答えた人は40%、「ない」は60%だった。宗教別ではプロテスタント18%、仏教16%、カトリック6%となっている(19歳以上7,647人が対象)。
注目したいのは長期の推移だ。2004年54% → 2014年49% → 2022年37%と宗教人口は一貫して減り続けてきたが、2024年の37%から2025年は40%へと小幅に戻した。長く続いた脱宗教化の流れが、いったん止まった形になる。
一方で高齢化は進んでいる。とくに仏教は信者の56%を60歳以上が占め、20代・30代の仏教信者は5%以下にとどまる。プロテスタントとカトリックも60歳以上の比率が高い。街の風景としては教会や寺院が目立つが、担い手の年齢構成は大きく偏っている。
なお調査機関によって数値には幅が出る。「特定の寺院や教会に通っているか」を基準にするか、「信仰の有無」を自己申告で聞くかで集計対象が変わるためだ。古い資料の数字をそのまま引くと実態とずれる点に注意したい。
仏教の伝来と朝鮮時代の弾圧
韓国に仏教が伝わったのは三国時代で、百済・新羅・高句麗のいずれにももたらされた。日本の仏教公伝は6世紀、百済からである。統一新羅、後三国時代を経て、936年に半島を統一した高麗時代にも仏教は保護され、天台宗と禅宗の一派である曹渓宗が主流となった。
状況が一変するのは李氏朝鮮だ。儒教が国教とされ、仏教は弾圧を受ける。全土に1万以上あった寺は242寺に限定され、第3代太宗の時代には88寺、ハングルを作ったことで知られる世宗の治世には36寺を残して廃寺となった。
朝鮮時代末期になると弾圧は弱まる。日韓併合以降は総督府が仏教の信仰を促し、日本にならって妻帯する僧侶も現れた。
曹渓宗と太古宗
戦後、日本の影響を否定するかたちで韓国仏教の再構築が進められたが、妻帯僧と非妻帯僧の間で対立が起きた。結果として非妻帯僧の宗派である曹渓宗が主流となり、現在は約8割を占める。妻帯僧は太古宗を創設し、曹渓宗に次ぐ第二の宗派となっている。
曹渓宗の本山はソウル市鍾路区の曹渓寺(チョゲサ)。1938年に太古寺として創建され、1954年に曹渓寺へ改名された。太古宗の本山はソウル市西大門区の奉元寺(ポンウォンサ)で、新羅時代の889年に般若寺として創建され、壬辰倭乱で焼失したのち1748年に現在の地で建て直された寺院だ。
いずれもソウル市内にあり、参拝そのものは自由にできる。曹渓寺は仁寺洞に近く、観光の動線に組み込みやすい。
キリスト教の伝来
カトリックが伝わったのは17世紀で、北京で洗礼を受けた留学生が最初とされる。しかし朝鮮政府によって禁止され、19世紀には衰退した。本格的に根づいたのは朝鮮戦争後である。
プロテスタントの伝来は1880年。現在では信者数で最も多い宗教となっている。街を歩くと赤いネオンの十字架が目立つのは、この歴史の帰結だ。
生活のなかで見える宗教
宗教人口の半数が無宗教とはいえ、生活のなかで宗教が見える場面は少なくない。仏教では旧暦4月8日の釈迦誕生日(お釈迦様の日)が祝日となり、寺院や街路に提灯が飾られる。クリスマスも祝日で、キリスト教系の行事として定着している。
ビジネスの場では、相手の信仰を詮索しないのが無難だ。会食で酒を勧める場面などで、宗教上の理由で飲まない人もいる。断られた際に理由を尋ねないのがマナーといえる。
よくある質問
Q. 韓国で一番多い宗教は?
A. 韓国ギャラップの2025年調査では無宗教が60%で最も多い。信仰を持つ人ではプロテスタント18%が最多で、仏教16%、カトリック6%と続く。
Q. 古い資料に「仏教が最多」とあるが?
A. 調査の基準や時期によって数値が変わる。現在はプロテスタントが仏教を上回っている。
Q. 宗教人口は減り続けている?
A. 2004年54%から2022年37%まで減少が続いたが、2025年は40%と小幅に戻した。ただし信者の高齢化は進んでおり、仏教は信者の56%を60歳以上が占める。
Q. 韓国仏教の主な宗派は?
A. 曹渓宗が約8割を占める最大宗派で、本山はソウル市鍾路区の曹渓寺。次いで太古宗があり、本山は西大門区の奉元寺。
Q. なぜ朝鮮時代に寺が減ったのか?
A. 儒教が国教とされ仏教が弾圧されたため。1万以上あった寺が、世宗の治世には36寺を残して廃寺となった。
Q. 宗教に関連する祝日は?
A. 旧暦4月8日の釈迦誕生日とクリスマスがいずれも祝日になっている。


