挨拶状と感謝状
- 2015/3/4
- 日本語・印刷
いよいよ3月、日系企業だと異動になる方が少なくない時期と思います。
転任の挨拶状や転任・退職に伴う感謝状・表彰状を作成する機会が多い時期でもあります。
在韓日系企業では、挨拶状は日本語と韓国語の2ヶ国語で作成するのが一般的ですが、日本語には一定のルールがあります。
拝啓 ○○の候 貴社におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます
さて私こと(今般私儀)
~本文~ 敬具
年月
○○株式会社
○△某
というのが挨拶状の一般的な形式ですが、日本語ルールによると、まず、正式には句読点を用いません。
句読点は文脈を示し、読み手を助けるために付します。
読み方を教えることは上から目線であると考え、格式を重視する文では句読点を用いません。
肩肘張らない挨拶状や伝えたい内容が多く、誤解を招きかねないなどで付す例もありますが、感謝状・表彰状では認められません。
同じ考え方から「一字下げ」も行いません。
次に「私こと」「今般私儀」など自分のことを指す語や、差出人を示す単語は、縦書きなら真ん中より下、横書きなら真ん中より右に配置します。
「さて私こと」をだけ1行とする文もよく目にしますが、
気になる人だと序文の挨拶を調整してすっきりまとめることもあります。
例1)
○○の候 貴社ますますご健勝のこととお慶び申し上げます
さて今般私儀
本文~
例2)
○○の候 貴社ますますご健勝のことと存じます さて今般私儀
本文~
例1だと、さて今般私儀だけが1行になりますが、例2はさりげなくまとめています。
反対に名宛人や相手先を表す語は、真ん中より上または左側に配置します。
それと、日本語の禁則はもちろん、そのまま適用します。
冒頭を小文字、長音、んなどからはじめないルールです。
日付も要注意。
2015年、二〇十五年、二〇一五年、平成などいくつかのパターンが考えられますが、どれでも良いというわけではありません。
横書きは正式には2015年。
二〇十五年は縦書き全般で使えますが、二〇一五年は縦書き弔事のみ。
同じように日付で10日を記載する場合も漢数字だと十日と一〇日の2種類あります。
これも十日は全般で使えますが、一〇日は弔事で使います。
また日本は元号、韓国は西暦を使っていますが、これも決まりがあり、主文は発信する国の年号で、翻訳文など副文で相手の年号を使うのが公式です。
漢字と平仮名の使い分けは厳密なルールはなく、誤字さえなければ構いません。
常用漢字かどうかを基準に考える人もいますが、こだわる必要はなく、御礼=お礼、宜しく=よろしくなど、好みや字数で選んで差し支えありません。
ところで、韓国語にはここまで面倒なルールはないようです。
実は日本語でも縦書きには厳格なルールがありますが、横書きだと厳密なルールはなく、縦書きのルールを適用しているに過ぎません。
あくまで推測ですが、韓国の古文書は縦書が多く、縦書き時代にはルールがあり、横書きになってから簡素化されたのかもしれません。
ところで、漢字・平仮名表記の選択も悩むところです。
漢字・平仮名のほか、ふりがな付の漢字もあります。
写植の時代、漢字とふりがなの判断は常用漢字かどうかが基準でした。
常用漢字は時代とともに変わるので、印刷会社でも新しい漢字辞書を常備していました。
PCが主流となった最近は、出版社等は別として、一般には常用漢字かどうかより、第1水準・第2水準を意識することの方が多いかもしれません。