品質重視と価格重視
- 2015/9/2
- 韓国ビジネス
日系企業は「安くて良いもの」を求める傾向があります。
韓国企業は「品質重視」と「価格重視」にはっきり分かれる傾向があります。
日本には「安くて良いもの」はたくさんありますが、韓国は「良いものは高く」「安いものは質が劣る」のが一般的です。
経験から品質を重視すると高くなると考えるのでしょう。
ところで、韓国の印刷は日本と比べて安価で、ある企業は韓国進出時に人件費の差といっていましたが、人件費ではなく製造工程の違いです。
製造業の方はわかると思いますが、一つの製造ラインで異なる仕様の物を製造するとコストは割高になります。印刷も同じこと。
多品種小ロットという特性から、日本で多い総合印刷会社はひとつの設備で、多様な仕様の製品を印刷製造します。
韓国は専門特化した零細工場が多く、各工場では同じ仕様しか製造しません。
それぞれ一種類の仕様しか扱わないので、コストが下がり低価格を実現しています。
ところが、日系企業のなかには、さらなる低コストを求める会社があります。
利益(人件費)を削るか、原料か、品質を左右する生産か。
たとえば、機械の速度を上げると品質は低下しますが、生産性が増して表面的なコストは下がります。
日本には格安業者や格安品がいろいろあります。
日本に多い中小企業では、アジアからの輸入品の増加で余剰設備を抱えたり、
繁忙期に合わせた設備や人員配置で、閑散期に余力が生じかねないことがありますが、この余剰設備や閑散期の余力の活用で、同品質・低価格の生産が可能となっています。
韓国は零細が多く、キャパシティーを上回る案件は断るなど、余剰設備や余力が生じることは殆どありません。
もし、余力があれば、むしろ設備の売却や人員整理を考えかねません。
この低価格=品質低下は、あらゆる分野で見られます。
たとえば、添加物が入った調味料を使っている飲食店。
食品添加物は一定の範囲内での摂取を想定して使用が認められているので、多量の摂取や複合的な摂取で安全性が確保されているとは限りません。
また、よく見かけるアルコール飲料がありますが、焼酎などの実効税率は70%強。
売価から流通経費を差し引き、税金や製造コストを引くとほとんど残りません。
なぜか法律上で定めらている原料等の記載もなく、何が入っているのか疑問です。
相応の対価を払う客先には、できる範囲で最大限の品質を提供し、安価を要求する客先には、徹底的にコストを落とす。
これは発注者が分かっている。というより自社の受注時と同じスタンスで発注するのかもしれません。
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