印刷の歴史
- 2013/2/20
- 日本語・印刷
水曜日のテーマは印刷です。
世界最古の印刷は、わかっていませんが、中国では7世紀には木版印刷が行われていたといいます。
製作年代がはっきり判っている現存する世界最古の印刷物は、奈良時代、770年に称徳天皇の命で印刷された百万塔陀羅尼です。
ただ、印刷物が残っているのみで、木版印刷か金属印刷かは、わかっていません。
いま判っている世界最古の金属活字を使った印刷は13〜14世紀の高麗で、ヨーロッパでは1450年頃、グーテンベルグが金属活字を発明し、一気に普及しました。
印刷業界では、グーテンベルグが活字印刷の発明者とされています。
中国・韓国・日本では、グーテンベルグよりも前の時代に印刷が行われていますが、いずれも途絶えた時期があり、現在まで続いている印刷技術はグーテンベルグの活字印刷を祖としているからかもしれません。
奈良時代に印刷された現存する最古の印刷物は仏教の教典で、グーテンベルグが発明した活字印刷も、半数以上が聖書などの宗教書。洋の東西を問わず、黎明期に印刷されたのは、宗教書でした。
長い間、活字印刷が続き、19世紀末から写真植字機の研究がはじまりました。
写真植字(写植)は、レンズを通して印画紙に文字を焼き付ける手法で、ヨーロッパで研究が始まりましたが、はじめて実用化されたのは1929年の日本です。
活字印刷は、さまざまな大きさの活字を用意する必要があります。
写真植字はレンズで文字の大きさをかえることができます。
アルファベットは26文字+記号しかありませんが、日本語は平仮名、片仮名、漢字があります。
書体ごとにさまざま大きさが必要で管理も大変な活字と比べ、1つの書体が1枚の文字盤で済む写植は、日本語にうってつけで、早期に導入が進んだのでしょう。
長い間、活字と写植が混在していましたが、1970年台からは電算写植が主流となってきました。
それまでの写植機は、文字を一文字ずつ打ち出す必要があり、校正で修正が入ると、修正が入った文字だけを打ち出して切り貼りしていましたが、電算写植では、コンピュータと同じように、文字をデータで保管できるようになりました。
活字の時代や写植の時代は、デザイナーが指定した書体やサイズの文字を用意して、組版を行っていましたが、1980年台にパソコンでデザインできるDTPが誕生し、いまではデザイン〜文字打ち〜組版まで、パソコン上で可能なDTPが主流になっています。