韓国の接客スタイル
- 2015/6/30
- 韓国ビジネス
デパートのセールを覗くと店員の数がとても多くて、店員が客数を上回っているコーナーもあります。
ソウルのデパートなど、ちょっと手を伸ばすとぶつかる距離まで店員が近寄ってくることがよくあります。
数十センチ横に張り付かれて、恐怖に感じることすらあります。
今回のセールでも、催事場の陳列台を見ていると売り子が近くまで寄ってきました。
そして、その陳列台を離れるとすぐに離れ、他の陳列台を見始めると、今度は別の売り子が側に寄ってきます。
韓国のデパートの売り場は、多くがテナントによる運営です。
催事場の売り子は、陳列台ごとに異なるテナント社から派遣されたのか、担当している陳列台は接客し、担当外はまったく接客しません。
接客といっても「○○Wの商品が、セールで○○Wです」というような単に値札やPOPに書いてあることをそのまま伝えるだけなので、いなくても良いようなものですが。
本人は接客しているつもりなのかどうか。疑問です。
ところで、飲食店に行くと、片手で給仕をするスタッフをよくみかけます。
右利きであれば、右手でサービングをして、左手は背に当てています。
また、韓国のいわゆる時代劇を見ると、手を隠して歩いている場面を目にします。
これらの手を隠す所作は、韓国特有の作法のようです。
儒教の考え方に、無骨な手や足を隠して恭順を示す所作があり、実は日本でも儒教がちょっとしたブームになったことがあり、手を隠す所作も宮中などで流行したといいます。
紫式部の時代です。
このような’手や足を隠して、恭順の意を表す’作法からサービングしない方の手を背に隠す接客スタイルが生まれたと推察できます。
ちなみに、現代日本では、あらゆる場面で両手を使うのがマナーの基本です。
サービングする側はもちろんのこと、受ける側も両手を使って受け取るのが原則で、何も隠していないことを示す所作に由来するといわれています。
相撲の立会いで、両手を広げる塵手水(チリチョウズ)という動作がありますが、元来は何も隠し持っていないことを指し示します。
かつての日本や欧州のような武士社会、騎士社会において、片手を隠す行為は、武器を隠し持っているという疑義を与えかねません。
そこで両手を見せて、何も隠し持っていないことを示す必要があったのです。
韓国は武士社会ではなかったので、’手を隠す所作’が続いたのでしょう。
日本はもとより、同じ儒教文化をもつ中国でも見られないスタイルです。
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