色の話し
- 2012/10/25
- 日本語・印刷
英語で陶器はchinaですが、漆器はjapanといいます。
漆の木もjapanといい、木肌は鮮やかな黄金色です。
伝統的な漆器は、黒と赤茶けた色が使われていますが、この赤茶けた色を「うるみ色(潤み色)」といいます。
私が好きな色のひとつです。
日本の神社•仏閣といえば「朱塗りの柱」が特徴です。
日本の伝統色である「朱色」と「緋色」は似ていますが、朱色の原料はもともと鉱物で、緋色は植物が原料です。
ちなにみ、習字で使う朱色は、水銀を焼いて製する朱で、「銀朱」といいます。
「千早ぶる神世もきかず竜田川からくれなゐに水くくるとは」有原業平
百人一首にも選ばれた有名な和歌で、竜田川の紅葉を「からくれない(韓紅•唐紅)」と賞賛しています。
からくれないの名の由来は「舶来の紅を想起させる」という説がありますが、韓国の王宮の柱は韓紅色に塗られています。
紅というと、紅花で染めた色を指しますが、同じ紅花でも鮮やかな紅色や今様色、淡い薄色、退紅・褪紅(たいこう)などあります。
ひとくちに赤と言っていろいろな赤があり、紅とか朱とか言っても、人によってイメージが多少違うので、印刷業界では、M(マゼンタ)何%+Y(イエロー)何%+Bk何%などと表します。
最も鮮やかな赤は「金赤(きんあか)」です。
金赤はM100%+Y90%に近いのですが、印刷業界ではM100%+Y90%を金赤と呼んでいます。
日の丸の赤は「紅色(M100%+Y65%+Bk10%)」と定められていますが、金赤で印刷している日章旗もみかけます。
赤とくれば青。
色を表す日本語で、「アオ」ほど、曖昧な言葉はないかもしれません。
通常、「アオ」というと、ブルー系の色ですが、青緑色の信号を「青信号」といいますし、青毛の馬は黒い肌と毛をもっています。