刷り出し
- 2013/3/6
- 日本語・印刷
刷り出しに立ち会ってきました。
オフセット印刷は、何度も書いているようにC(シアンまたはサイアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック、スミ)の4色で印刷します。
4色それぞれ、色の濃度を調整することができますし、印刷機によっては、同じ色でも部分的に濃度を調整することもできます。
何枚か印刷して、各色を刷り重ねて位置を調整し、インクの濃度を調整して、色具合(刷り上がり)を確認してから、本番の印刷に入りますが、この調整の準備印刷を「刷り出し」とよんでいいます。
色は問題なかったのですが、4色とも均等に版がずれていたので、面付けをやり直すことになりました。
仕上がりはA4判で、A1判の機械にA4判の版を8面並べて印刷します。
この並べる工程を日本では「面付け」といいますが、韓国では「ハリコミ」と呼びます。
DTPよりも前、写植を打って文字を版下に貼付けていた頃、今回のようなA1判の印刷機でA4判を印刷する場合の工程は、(1)A4判の版下をA1判の台紙に8面に貼付けます。(2)A1版の台紙(版下)からフィルムを製作します。(製版) (3)フィルムをPS版に焼き付けます。(刷版) (4)PS版を印刷機にセットして印刷します。
「ハリコミ」というのは、1の貼付け作業から誰かが付けた用語なのでしょう。
いまは、DTPで作成したデータをコンピュータ上で面付けを行って、フィルムを出力するようになり、また、CTPといって、DTPで作成したものをコンピュータ上で面付けを行いPS板に出力します。(部数が多いなど、フィルムを出力してPS板に焼き付けることもある)
版下時代の1の貼り付け「貼り込み」も、2の工程もなくなりましたが、「ハリコミ」という用語だけは、そのまま残っているようで、日本語で考えると時代に会わない語です。
実際の印刷と同じ工程で色校正を行っていたときには、刷り出しでは、色校正に色調を合わせていましたが、いまは、デジタル印刷で色校正を行っています。
デジタル印刷は、オフセットとは工程もインクも異なりますし、紙質も異なることが多々あるので、同じ色調にはなりません。
刷り出しでは、色調の見本となるものがないので、経験と色感覚に頼ることになります。
オペレーターとの会話は通訳を通してでしたが、同じ感覚をもったプロということが判ったので、安心して任せることにしました。
韓国の印刷は、言葉は違っても日本とかわりませんし、高いレベルの意識と技術をもった人たちも多く、一般の商業印刷のレベルは日本とほとんどかわりません。
商業印刷に限っていうと、韓国の印刷が技術面において、早晩、日本を抜くかもしれません。