MERSと意思決定

MERSは「Middle East respiratory syndrome」の略で、日本語では中東呼吸器症候群と訳されていて、その名の通り、最多のサウジアラビアをはじめ、中東を中心に感染が広がっていますが、韓国の感染者数は、UAEを上回る2番目となったようです。
さて、日本では合議制による意思決定が日常的に行われています。
重大な意思決定は一堂に会し、日常的な意思決定は稟議を積み上げます。
意思決定ループに属する人たちが共同で意思決定を行います。
個人ではなく連帯で決定し、連帯で責任を負うシステムです。
稟議などで時間がかかる上、事勿れ的な結論になりやすい難点もありますが、MERSのような、いまだ経験したことがない大事が起こった際には、いち早く専門家を召集し、かつ「日常的に行われている」合議制によって、対策を講じることが容易です。
連帯で責任を負い、誰がどんな発言をしたのかを重視しないこともあって、会議の場では、それぞれの立場から忌憚のない意見を述べ合います。
そうして、取りまとめた意見を政府などの関係機関に上申し、上申を受けた側は、その意見を元に意思決定を行います。
合議>上申>意思決定がスムーズに行われることで適切な対応が早急かつ容易となります。
一方、韓国ではトップダウンによる意思決定が日常的に行なわれています。
権限を最大限に用い、即決で意思決定がなされるメリットがあります。
意思決定と同時に責任も負うことになり、トップダウンに慣れているスタッフは自分の考えは主張せずに上からの指示を待ちます。
経験したことがない場面では、トップが専門外だと意志思決定まで時間がかかりますが、現場は上からの指示を待ち続けます。
結果として、特段の対処がなされない状態が続きかねません。
昨年のセウォル号も今回のMERSも、政府の対応が後手後手に回り、被害が拡大しましたが、現場はトップである大統領府の指示待ちで、大統領府は情報収集と判断に時間がかかった可能性があります。
また、個人の行動ではモラルの欠如が指摘されています。
日本大使館によるSJC安全対策委員会に対するMERS対策説明会では、韓国では医療施設での感染のみで市中感染が起きていないので、マスクを常時着用する対策は必要ないという説明があったようですが、感染者や感染の疑いがある人が隔離されている前提に立った内容でしょう。
ニュースによると、
中国を訪問した感染者は、医師の隔離指示を無視して渡航したといいます。
また、感染の疑いで自宅隔離を指示されながら、気分転換でゴルフに行った人、
自宅隔離の指示を無視して多くの近隣住民と接触していた人、
さらには、発症後も患者輸送に従事し続けた病院職員、
自宅待機中に海外旅行に出かけた医師などが散見できます。
感染者が自由勝手に市中を歩き回っている現状を鑑みると、「市中感染はない」とは言い切れないように思います。
政府や個人の日頃の意思決定や安全不感症が事態を大きくしているように感じます。
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■ 韓国-WHO(世界保健機構)のMERS合同評価団が行なった発表
(6月13日の記者会見・日本大使館のメールから転載)
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日本大使館のメールに目を通していない方のために転載します。
その他の最新情報は在韓日本大使館のサイトでご確認ください。
http://www.kr.emb-japan.go.jp/people/
1.韓国のMERS発病を統制する努力は、相当に強化されており、適切な処置をとっている。非常に印象的である。
2.しかし、流行が大規模で複雑な状況であり、処置が完全に効果を発揮するのには、数週間かかると見込まれ、短期間で解決されることは期待出来ない。
地域社会感染は確認されていないが、病院で感染した患者が散発的に発生する可能性に備えなければならない。
3.国内外の信頼を強化するために、より活発な意思疎通が必要であり、国内だけでなく、国際社会に対しても迅速かつ開かれた意思疎通が必要である。一方、休校などの措置は、科学的根拠がない場合には信頼を阻害するので、授業の再開を考慮する必要がある。
4.現在、病院感染予防と患者の移動制限、接触者の確認及び追跡を通じた隔離措置、特に患者と接触した者の旅行制限(特に海外旅行)などの強力な公衆保健措置が重要である。
5.今後、韓国で類似の新型伝染病が更に発生がある可能性があるので、疾病管理本部と同様な公衆保険機関の能力強化と感染の専門家、疫学の専門家などの人材育成と公衆保健衛生研究所及び陰圧病室の拡大などの追加投資を提言する。
6.MERS拡大防止活動を行なっている保健福祉部・疾病管理本部及び地方政府の人的な業務負担が非常に増加した状況であり、追加の人的支援が急務である。
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■ あとがき
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ソウルの街中も地下鉄も閑散としています。
通勤時間帯の地下鉄車内も人が少なくなっています。旅行者は10万人近いキャンセルがあったといいますが、首都圏人口2000万人から見れば微々たるもの。
それ以上に人がいなくなったみたいです。
人が密集する繁華街に行かなくなるのはわかりますが、地下鉄にも乗らないとなると、どこに行ったのか。
ちょっと不思議に感じています。

kazNewsweek記者

投稿者プロフィール

広告プランナー兼フォトグラファー。広告印刷とWEBプランニングに従事して早20年。日系企業の韓国ビジネスに詳しい。韓国経済や社会文化情報の発信を行い、外国人生活モニターとしてソウル市に改善提案を行っている。
週末には日韓米豪いろんな国の人たちと趣味の音楽を愉しんだり、カメラ片手にソウルや近隣をここかしこ徘徊したりしています。

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