
韓国のトイレ事情 ── 紙は流せる? 案内表示とウォシュレット
韓国では便器の横にゴミ箱を置くトイレをよく見かける。古い建物は配管の関係でトイレットペーパーを流せないためだ。2000年前後以降の建物なら問題ない。地下鉄駅の親切すぎる案内表示や、月9,900ウォンからの温水洗浄便座リースまで、韓国のトイレ事情をまとめる。

韓国のオンドル(床暖房)― 仕組みと外出モード、暖房費の考え方
韓国の住まいで日本と最も違うのがオンドル(온돌)である。エアコンや石油ストーブで空気を暖めるのではなく、床そのものを暖めて部屋全体を暖める方式で、現代のアパートでも標準装備だ。仕組みを知らないと、暖房費が跳ね上がったり、水道管を凍らせたりすることになる。
もともとは竈の煙で床を暖める仕組みだった
かつてのオンドルは、台所の竈(かまど)で煮炊きする際に出る煙と熱を床下に通し、床を暖めるものだった。火災を避けるため、オンドル部屋の床は板石を敷き、その上に油紙を貼っていた。
この構造には制約がある。竈の熱で床下を暖める以上、2階より上の床は暖められない。韓国の伝統家屋がほぼ平屋なのは、この暖房方式と結びついている。
現代のオンドルは温水式の床暖房
中高層アパートが主流になった現在、旧来の方式は構造的に成り立たない。いま「オンドル」と呼ばれているのは温水式の床暖房である。床下に配管を通し、ボイラーで沸かした湯を循環させて床を暖める。
熱源は電気もあるが、ガスや灯油が多い。室温の調整ができ、多くは風呂・シャワー・台所の給湯ボイラーとセットで組み込まれている。つまり暖房と給湯が同じ設備でまかなわれている。
操作パネルは室内の壁に付いていることが多く、「実内(실내)=室温基準」「温水(온수)=給湯のみ」「外出(외출)」といったモードを選ぶ形式が一般的だ。
「外出モード」は切るためではなく、凍結を防ぐためにある
ここが在韓日本人が最もつまずくところだ。冬にオンドルを完全に切ってはいけない。
ソウルは氷点下10度前後まで下がるため、暖房を止めると室内の水道管が凍結しかねない。破裂すれば修理費がかさむうえ、集合住宅では階下への漏水にもなる。
就寝時や外出時は、切るのではなく「外出」モードにしておく。最低限の温度を保ちながら消費を抑えるためのモードで、節約のための機能であると同時に、凍結防止のための機能でもある。長期で家を空けるときは、加えて水道管の水抜きをしておくと確実だ。
暖房費は使い方で大きく変わる
温水式の床暖房は、コンクリートの床を暖めるまでに時間がかかる。こまめにオン・オフを繰り返すと、そのたびに暖め直すことになり、かえって費用がかさむ。一定の温度を保つ運用のほうが結果的に安く済むことが多い。
集合住宅では暖房費が管理費(관리비)に合算されて請求される方式が一般的で、使用量に応じて冬場の管理費が大きく上下する。日本の感覚で「暖房は使った分だけ電気代」と考えていると、冬の請求額に驚くことになる。
寝具は薄いほうが理にかなっている
床からの熱を体に伝える暖房なので、布団や座布団は薄いものが使われてきた。日本の厚い敷布団を床に敷いて寝ると熱が伝わらず、そのうえ体が沈まないため、一晩で節々が痛くなるということが起こる。畳に厚い布団という日本の習慣とは前提が違う。
近年はベッドを使う人が増えたが、床を暖めて暖をとるという習慣は残っており、温水式の敷き毛布が人気だ。ベッドの上でもオンドルに近い暖まり方を再現する、という発想である。
よくある質問
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韓国のインスタントラーメン ── 日本から渡った技術と、いま起きている変化
韓国は1人あたりの即席ラーメン消費量が世界一とされる。その市場を築いた三養と農心には日本と深いつながりがあり、1963年に明星食品が無償で技術供与した歴史を持つ。辛ラーメンの一強からブルダック炒め麺の台頭へ——勢力図の変化と、在韓日本人に便利なサリ麺まで解説する。

韓国のキムジャン ― ユネスコ無形文化遺産と、おすそ分けとの付き合い方
11月下旬から12月初旬にかけて、韓国ではキムジャン(김장)の季節を迎える。冬から春にかけて食べるキムチを一度にまとめて漬け込む行事で、2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されている。登録されたのはキムチという食品ではなく、家族や近所が集まって漬け、分かち合うという営みそのものだ。在韓日本人にとっては「おすそ分けをいただく側」として関わることが多い。
もともとは冬の保存食を確保する行事だった
野菜が手に入らない冬に備え、白菜や大根をまとめて漬け込んでおく——それがキムジャンの出発点である。家族や親戚が集まり、女性を中心に一日がかりで作業する光景が、長く韓国の初冬の風物詩だった。
年中どんな野菜でも手に入る現在、保存食としての必要性は薄れている。それでも行事として続いているのは、共同で作業し、分け合うこと自体に意味があるからだといえる。ユネスコがキムチではなく「キムジャン文化」を登録したのも、その点を評価してのことだ。
時期が決まっているのは気温の都合
キムジャンの時期が11月下旬から12月初旬に集中するのには理由がある。気温が下がりすぎると白菜が凍り、高すぎると発酵が進みすぎる。ちょうどよく低い時期が、この数週間なのだ。
地域によって適期は変わり、南に行くほど遅くなる。ソウルでは11月下旬あたりが目安になる。
おすそ分けの量は「日本の感覚」を超える
キムジャンでは自分たちが食べる以上に漬け込む家庭が多く、近所や職場に配られる。在韓日本人がこのおすそ分けにあずかることも珍しくない。
ここで戸惑うのが量である。もともと分け与える文化なので、渡されるのはとても食べきれる量ではない。しかも年中野菜が手に入るいまは、毎月のように漬けてその都度おすそ分けをくれる人すらいる。
いただいたキムジャンキムチを食べきらないまま1年が過ぎ、次のキムジャンキムチがやってくる——冷蔵庫に食べきれないキムチが溜まっていく、というのはよく聞く話だ。もらった食べ物を捨てるのは気が引けるという日本人の感覚も、これに拍車をかける。
受け取るときに知っておくとよいこと
断りにくい場合は、受け取る量をその場で調整させてもらうのが角が立たない。「食べきれる分だけ」と伝えるのは失礼にはあたらない。
保存については、キムチ冷蔵庫(김치냉장고)が広く普及している。一般の冷蔵庫より低い温度帯を保ち、匂い移りも抑えられる。キムチを日常的に食べる家庭ではほぼ必需品で、備え付けの住宅も多い。
また、時間が経って酸味が強くなったキムチは捨てるものではない。キムチチゲ、キムチチャーハン、キムチチヂミなど、加熱料理には熟成が進んだもののほうが向く。韓国では古くなったキムチを「ムグンジ(묵은지)」と呼び、むしろ珍重する。食べきれないと感じたら、生食から加熱料理へ切り替えるのが現実的な解決策になる。
よくある質問
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韓国の宗教〜仏教・キリスト教の歴史と現在
韓国は人口の6割が無宗教で、信仰を持つ人ではプロテスタント(改新教)、仏教、カトリックの順に多い。古い資料では仏教が最多と書かれていることが多いが、現在はプロテスタントが上回っている。ここでは現在の宗教人口と、仏教・キリスト教それぞれの歴史を整理する。
現在の宗教人口
韓国ギャラップが1983年から継続している「韓国人の宗教」調査によると、2025年時点で「信じている宗教がある」と答えた人は40%、「ない」は60%だった。宗教別ではプロテスタント18%、仏教16%、カトリック6%となっている(19歳以上7,647人が対象)。
注目したいのは長期の推移だ。2004年54%…
韓国’儒教’文化考察 パワハラ
韓国の儒教文化は、目下の者が目上を敬うだ…
韓国’儒教’文化考察 老弱者
ソウルの地下鉄は、各車両の両端に老弱者席…
韓国’儒教’文化考察 マウルの内と外
韓国は儒教の国、年長者を敬う文化といいま…

一時帰国時の日本での免税購入ガイド ― 2026年11月からリファンド方式へ
韓国に住む日本人が一時帰国したとき、日本国内の免税店で消費税を払わずに買い物ができる制度がある。ただし2年以上海外に住み続けていることが条件で、2023年4月からは口頭の申告では足りず、公的書類での証明が必要になった。さらに2026年11月1日からは方式そのものが変わり、店頭で免税されるのではなく出国時に払い戻しを受ける形になる。ここでは要件と、変更後に何が変わるのかを整理する。
誰が対象になるのか…

在韓日本人のための危機管理・緊急時ガイド
韓国に暮らす日本人にとって、緊急時への備えは特別なことではなく「登録」「情報の受け取り方」「避難場所の把握」の3点を平時に済ませておくことに尽きる。ここでは在留届などの届出、大使館からの情報を受け取る方法、待避所の確認、そして出国手段について整理する。
まず済ませておく:在留届とたびレジ
海外に3か月以上滞在する日本人には、旅券法により在留届の提出が義務づけられている。オンライン届出システム「ORRネット」から提出でき、住所や家族構成が変わったときは変更届を出す。
3か月未満の滞在であれば、外務省の海外安全情報配信サービス「たびレジ」に登録しておく。いずれも登録しておくことで、緊急時に大使館からの連絡が届く経路が確保される。出張や短期滞在でも登録しておいて損はない。
登録内容が古いままだと、いざというときに連絡が届かない。転居や帰国、家族の増減があったタイミングで更新する習慣をつけておきたい。
大使館からの情報を受け取る
危険度が上がる事象が発生した場合、在留届やたびレジの登録者には大使館から携帯電話へメッセージが届く。裏を返せば、登録していなければ何も届かないということだ。
また在大韓民国日本国大使館のウェブサイトには「安全マニュアル」が掲載されており、日本人居住者が多い地域の待避所リストなども載っている。平時に一度目を通しておくと、いざというときに探し回らずに済む。
待避所(シェルター)を把握しておく
韓国には全国に多数の民防衛待避所が指定されており、地下鉄駅、地下商店街、オフィスビルの地下、アパートの地下駐車場などに「待避所」と表示されている。
場所は行政安全部の「安全ディディムドル(안전디딤돌)」アプリや国民災難安全ポータルで検索できるほか、主要な地図アプリやポータルサイトでも調べられる。平時にアプリを入れておけば、外出先でもすぐ確認できる。
ただし過度な期待は禁物だ。広いスペースやAED、防毒マスクなどを備えている施設もあるが、数はさほど多くなく、水や食料は基本的に備蓄されていない。あくまで一時的な避難場所と割り切り、必要なものは自分で持ち出す前提で考えておきたい。
確認しておくべきは、自宅・職場・子どもの学校といった日常の生活動線上にある待避所だ。通勤・通学ルート沿いに何があるかを、平時に一度歩いて確かめておくと心強い。
出国手段について知っておくこと
緊急時の出国手段は、大きく空路と海路になる。ただしどちらも平時と同じようには機能しないという前提で考える必要がある。
空路については、状況によって空港が使用できなくなる可能性がある。日韓路線に就航している日本の航空会社は限られており、1日あたりの座席数には上限がある。海路については、釜山と下関・福岡・対馬などを結ぶフェリーが毎日就航している。ただしソウルから釜山への移動手段自体が混雑する可能性を織り込んでおく必要がある。
いずれにせよ、韓国には常時5〜6万人規模の日本人が滞在しているのに対し、短期間で出国できる人数はその一部にとどまる。全員が同時に動けるわけではないという現実は理解しておきたい。
オープンチケットは有効か
備えのひとつとして、搭乗区間だけを指定し日時を予約せずに購入する「オープンチケット」(1年間有効)を持っておく方法がある。ただし日韓路線は割引運賃が多いため、何も起きなければ割高になり、毎年買い替える必要が生じる。
現在の航空券はEチケットが主流で、予約も決済もインターネット経由が基本だ。システムが正常に機能しない状況では、この経路自体が使えなくなる可能性がある。オープンチケットを持っていれば、電話など別の手段で手続きできる余地が残るかもしれない、というのが実務上の期待値だ。
一方で、日本政府が手配する航空機については、到着後に支払う旨の誓約をすれば搭乗できるなど、チケットがなくても対応されるケースがある。オープンチケットは搭乗を保証するものではなく「お守り」に近いと考えるのが妥当だろう。いずれの手段でも、指定された時刻までに指定場所に到着することが大前提になる。
移動できないときの選択肢
移動そのものが困難な状況では、無理に動き回らずその場で持ちこたえるという選択肢もある。待避所の場所を把握し、数日分の水・食料・常備薬・現金を自宅に備えておけば、判断の幅が広がる。
現金については、決済システムが使えない事態も想定して、少額でも手元に置いておくと安心だ。これは緊急時に限らず、大規模な通信障害や停電の際にも役立つ。
よくある質問
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韓国居住者の医療保険
前回と前々回で年金を取り上げました。https://pluxpr.wordpress.com今回は医療保険を取り上げます。…

韓国のカード社会と付加価値税(VAT)― 在住者のための決済と領収書の基本
韓国はカード決済が生活の隅々まで浸透している。数百ウォンの買い物でもカードが通り、現金しか使えない店を探すほうが難しい。その背景には付加価値税(VAT)を確実に捕捉するという税務上の仕組みがある。ここでは在韓日本人が実際に関わる決済と領収書の扱い、そして免税還付(タックスリファンド)が居住者には使えないという点を整理する。
なぜここまでカード社会なのか
韓国の最高額紙幣は5万ウォン。日本円にすると1万円札より小さい単位が最高額であり、家電のようなまとまった買い物を現金で払おうとすると札束を持ち歩くことになる。旅行者ならともかく、居住者にとっては現実的でない。自然とカード払いになる。
ただし理由はそれだけではない。事業者にとってカード決済は、売上と付加価値税の計算を単純にする。そして同時に、税務当局にとっても課税を容易にする。
現金での入金は、いくら売り上げたのかを事業者自身が申告しなければ当局には分からない。一方、カード入金や口座入金は記録が残るため、事業者の判断が介在する余地がない。高額紙幣を作らず、デノミネーションも実施しないという選択には、カード決済へ誘導して売上を記録に残すという側面がある、と見ることもできる。
韓国の付加価値税と日本の消費税の違い
日本の消費税には、事業規模によって原則課税・簡易課税・免税があり、課税方式も課税売上を認識するルールも選択制になっている。そのぶん計算システムの構築は複雑だ。
これに対し韓国の付加価値税は原則課税のみで、税金計算書(세금계산서)かカード決済の記録に基づくため、仕組みがきわめて単純である。事業者にとって計算が容易な制度は、当局にとっても徴収が確実な制度でもある。
税率は10%。日本の消費税と違って軽減税率がなく、店頭の表示価格は税込みが原則だ。日本から来たばかりだと「表示価格に後から税が乗る」感覚で身構えることがあるが、その必要はない。
現金で払うなら現金領収証を
カードが使えない場面や、現金のほうが都合がよい場面もある。その際に覚えておきたいのが現金領収証(현금영수증)だ。会計時に携帯電話番号を伝えると、その現金支払いが国税庁に記録される。
韓国で年末調整(연말정산)の対象になる給与所得者にとっては、カード利用額と現金領収証の合計が所得控除の計算対象になる。韓国の会社に雇用されている在韓日本人であれば、現金払いのときに番号を伝えるかどうかで控除額が変わりうる。
なお現金領収証には「所得控除用(個人)」と「支出証明用(事業者)」の区分がある。会社の経費として精算するのか自分の控除に使うのかで、伝える番号や区分が変わる点に注意したい。
免税還付は「観光客」の制度…
