「大統領になろうとしたのは間違いだった」 誰も残れない韓国大統領制、憲法改正への期待高まる
韓国検察は5月1日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領を職権乱用の罪で在宅起訴したと発表した。韓国では大統領は内乱・外患の罪を除いて在職中は起訴されないと定められており、検察は1月に内乱首謀罪で起訴していたが、罷免によって捜査が本格化したとみられる。その直前の4月24日には、文在寅(ムン・ジェイン)元大統領も収賄罪で在宅起訴された。娘の元夫がタイの格安航空会社から受け取った金銭が賄賂に相当するという容疑である。
韓国では任期を全うした大統領に退任後の礼遇が与えられる。任期中の報酬の95%が年金として支給され、秘書官3名と運転手、警備・警護に加え、交通・通信・事務室、本人と家族の医療などが公費で賄われる。ただし禁錮以上の刑が確定したり国外に逃亡すれば、礼遇は制限または剥奪される。2025年4月時点で礼遇を受けている大統領経験者は文在寅ただ一人で、有罪が確定すれば剥奪される。故人を含めても、生存中に礼遇をすべて受けたのは崔圭夏・金泳三・金大中・盧武鉉の4人しかいない。
初代大統領の李承晩(イ・スンマン)は不正選挙への糾弾デモを受けて米国へ亡命した。以後も、暗殺、軍事クーデター、収賄による収監、退任後の悲劇と、韓国大統領の末路は苛烈な例が続いてきた。「大統領になろうとしたのは間違いだった」という言葉が象徴するように、5年単任で強大な権力が集中する制度そのものへの疑問が高まっている。憲法改正による権力分散への期待が語られるが、改正には与野党の合意と国民投票が必要で、実現の道筋は容易ではない。
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「大統領になろうとしたのは間違いだった」 誰も残れない韓国大統領制、憲法改正への期待高まる(外信記者・佐々木和義)


