究極の危機管理
- 2015/9/8
- 韓国生活と文化
先月、韓国と北朝鮮の軍事的緊張が高まりましたが、その際、危急時の脱出が話題になりました。
(1)空路による脱出。
日系企業のなかには、危機管理対策として、日本行きビジネスクラスのチケットを用意している会社があります。
そうはいっても、仁川は国境に近く金浦は攻撃対象になりかねないので、戦時体制下では早々の空港閉鎖が想定されます。
安全が確保されれば、駐機している外国の飛行機は離陸できる期待がありますが、以降、飛来してくる可能性はなく、駐機している機材が脱出の最終便となります。
離陸する(脱出する)飛行機の搭乗基準は、マニュアルがあるのか、或いはその時点の状況で判断するのわかりませんが、いくつかのパターンが考えられます。
例)
・自国民を優先
・チケットを持っている人の予約を優先
・空港で待機している人の申し込みを優先 等
自国民を優先させる場合、韓国に就航している日系航空会社は2社+LCC1社ですが、いずれもコードシェア便が多く、3社の機材合わせても1日2000席前後。
今回のように夕方の時間時間帯だと、座席数はもっと少なくなります。
航空会社としては、離陸の許可が出次第1分1秒でも早く脱出したいところですから、いかに早く空港に着くかが危機管理のポイントになりそうです。
(2)海路による脱出
次に釜山から海路での脱出を考えます。
釜山と下関・福岡・対馬など、毎日、フェリーが就航しています。
江原道と鳥取の間にもフェリーが就航していますが、週1便で、しかも江原道は国境に近いので、釜山の方が良いでしょう。
ソウルから釜山までの交通手段ですが、空路だと(1)のように空港が閉鎖される可能性があります。
鉄道も戦時体制下では軍の管理に置かれ、正常な運航は期待できません。
バスは首都圏を脱出する人々で溢れる可能性が大きく、あとはタクシー。
タクシー代は、カードはNGで、現金をもって運転手との交渉になるでしょう。
通常を上回る金額提示に加え、KRWよりUSDの方が交渉しやすいといいます。
参考までに、通常料金はNaver検索で28万W強、コネストで30万W弱。
それ以上の現金は必要でしょう。
専用の社用車がある会社は、車は使用できるとしても運転手はあてにできません。
運転手には社長より大切な家族がいます。
駐在員の運転を禁止している日系企業が少なくありませんが、いざという時に、社用車を運転する練習も危機管理かもしれません。
釜山発日本行きの1日の乗船定員は全便合わせて2000人前後です。
いま、韓国に在留届けを出している日本人は約3万6千人。
ほかに留学生や旅行者などの短期滞在と合わせて5~6万人の日本人が常に韓国内にいるといいます。
飛行機での脱出が1000人ほどで、船便が1日2000人。
また、2機ある日本政府専用機は、邦人救出に使用でき、邦人救出時の定員は1機350人。
いざというとき、3-4日あれば5000~6000人が出国できる計算ですが、全体から見れば僅か1割にすぎません。
今回も日本大使館からの緊急メッセージはなかったので、大丈夫なんでしょうね。
大なり小なり、危険が発生したら大使館から登録者の携帯にメッセージが届きます。