甲と乙/その2
- 2015/8/26
- 韓国生活と文化
前回のつづき
甲乙問題は企業等組織内のパワハラだけではありません。
取引先の間でもあります。
企業間取引は一方が製品や役務を提供し、他方が代金を支払うのが一般的で、供給者と購入者が対等となる相対取引が基本です。
韓国の事例と見ると、
甲;大手百貨店 乙;テナント
甲;コンビニチェーン 乙;加盟店
甲;乳業会社 乙;販売代理店
甲;銀行 乙;中小企業
甲;建設会社 乙;下請け業者
甲;テレビ局 乙;制作会社
供給する側=代金を受け取る側が甲となるパワハラと購入する側=代金を払う側が甲となるパワハラがあります。
供給する側によるパワハラは「甲」を通さないと商品供給など、販売機会を得られないケースで、購入する側によるパワハラは、甲が発注者および代金支払い者のケースですが、共通点として規模の大きい会社が甲で、規模の小さい会社(零細な会社)が乙となっている傾向が見受けられます。
韓国は多くの分野で財閥等大企業が大きなシェアを持っています。
その結果、供給が寡占となるケースが多々あります。
財閥企業と競合する製品・サービスを扱う中規模企業がほとんどなく、財閥企業と零細企業に分化している特性もあって、大企業による
零細企業への圧迫が起こりやすくなります。
たとえば、代金決済。
日本では掛売りが主体ですが、韓国は即時決済が主流です。
例)メーカー「A」、販売者「B」、購入者「C」
日本ではAとB、BとC、それぞれで信用取引=掛売りがよく行われ、BはCから入金した後でAに代金を払います。
一般にBの規模が大きく、AB間、BC間で継続的な取引がある場合に、行われます。
一方、韓国はAとB、BとCは即時決済が主流ですが、日系企業(C)のなかには、日本と同じ取引条件を要求する会社が少なくありません。
言葉による圧迫表現や無理な価格・納期はもとより、商習慣を上回る信用取引(掛買)の要求など、が日系企業取引条件によっては甲乙構造になりかねない要素を含んでいます。