中大兄皇子は百済人か

中大兄皇子は百済人という説があります。
果たしてどうなのでしょうか。
日本書紀によれば、中大兄皇子は推古三十四年(六二六年)誕生。
父は舒明帝、母は皇極帝。諱は葛城(かつらぎ)で、葛城皇子と呼ばれていました。
中大兄皇子の兄弟に古人大兄皇子、間人皇女、大海人皇子がいます。
古人大兄皇子は舒明帝の第一皇子で、蘇我馬子の娘、蘇我法提郎女(ほほてのいらつめ)を母に持ち、大臣蘇我蝦夷から見れば甥、入鹿とは従兄弟にあたります。
蘇我蝦夷と入鹿は、古人大兄皇子を帝に擁立するため、有力な対抗馬である厩戸皇子の子、山背大兄王と一族を滅ぼしたものの、反蘇我勢力の反発を招き、乙巳の変で入鹿は暗殺され、蝦夷も自ら命を絶ちました。
こうして、有力な後ろ盾を失った古人大兄皇子もその生涯を閉じます。
間人皇女は孝徳帝の皇后になりました。
孝徳帝は乙巳の変で皇極帝が辞任した後を継いで即位し、大化改新を推し進めた帝です。
大海人皇子は後の天武天皇で、即位すると正史の編纂と律令の制定を命じました。
天武天皇の没後に完成した日本書紀および大宝律令です。
また、国号を日本と定め、はじめて天皇の称号を使ったといわれています。
ところで、大海人皇子こと天武天皇は、舒明帝の子で中大兄皇子の弟とされていますが、異説もあります。
舒明帝の皇后である宝皇女こと皇極帝は、はじめに用命帝の孫である高向王と結婚し、舒明帝が即位したときに、舒明帝と再婚して皇后となりました。
大海人皇子は、この高向王の子という説があり、もし、高向王の子なら中大兄皇子より年長ということになります。

 

中大兄皇子が日本書紀にはじめて登場するのは、皇極二年(六四三年)のこと。
帝をないがしろにして権勢をふるう蘇我蝦夷・入鹿親子を憂う中大兄皇子は、この年、中臣鎌子と出会います。
神官の子でありながら野心を抱く中臣鎌子は神官を辞退し、軽皇子と親しく交流していましたが、中大兄皇子との出会いにより、中大兄皇子とともに帝中心の政治を取り戻すべく画策します。
そうはいっても、蘇我馬子を継いだ蘇我入鹿は、山背大兄王を滅ぼした後、身辺警護を厳重にしたため、これを倒す機会はなかなか訪れません。
そんななか、皇極四年(六四五年)六月、好機が訪れます。
中大兄皇子と中臣鎌子は、三韓の使者が奏上する間で蘇我入鹿が丸腰になることを知り、この機会を利用して、蘇我入鹿の暗殺に成功しました。
面前で宰相が暗殺された皇極帝は帝を辞し、中大兄皇子に帝位を譲ると仰せになりましたが、中大兄皇子は辞し、中臣鎌子と親交があった皇極帝の異母第である軽皇子を推します。
また、出家して吉野に隠遁した古人大兄皇子にも疑いがあるとして兵を送り、兄を殺しました。
さて、軽皇子こと孝徳帝が皇極四年(六四五年)七月に即位すると、中大兄皇子は宰相に就任し、大化改新を行います。
白雉五年(六五四年)、孝徳帝が崩御したときも中大兄皇子は即位せずに皇極帝が重祚します(斉明帝)。
斉明六年(六百六十年)、新羅・唐連合軍が百済を滅ぼし、百済の義慈王とその子らは捕虜として唐に連行されるという事件が起こりました。
このとき、百済遺臣より、倭に滞在していた扶余豊璋を王に迎えたいと申し出があり、中大兄皇子は全面的な支援を決定。
中大兄皇子は斉明帝、大海人皇子とともに筑紫に出向き、扶余豊璋と一万の兵を送りましたが、戦いに敗れ、残った兵は帰化を望む百済の民数千人とともに帰国しました。
白村江の戦いです。
この戦いの最中に斉明帝が崩御しましたが、中大兄皇子は即位せず、それから六年半の間、皇太子として帝を立てずに政務を執りました。
天智七年(六六八年)、帝として即位しましたが、その五年後の天智十年(六七二年)に崩御しました。
http://wp.me/P6lE21-tY

kazNewsweek記者

投稿者プロフィール

広告プランナー兼フォトグラファー。広告印刷とWEBプランニングに従事して早20年。日系企業の韓国ビジネスに詳しい。韓国経済や社会文化情報の発信を行い、外国人生活モニターとしてソウル市に改善提案を行っている。
週末には日韓米豪いろんな国の人たちと趣味の音楽を愉しんだり、カメラ片手にソウルや近隣をここかしこ徘徊したりしています。

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