中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍 ── その沈黙は「抑止」か「無能」か
韓国軍が中国の軍事的挑発に対して沈黙を続けている。中国機による韓国防空識別圏(KADIZ)への無断進入は年々増加し、黄海や東シナ海では中国海警局の船舶による活動も常態化している。にもかかわらず、韓国軍と国防部の対応は抗議にとどまり、実効的な措置を取らないケースが目立つ。専門家の間では、この沈黙が抑止のための戦略的自制なのか、それとも対応能力の欠如なのかをめぐって議論が分かれている。
韓国が中国に対して融和的な姿勢を取る背景には、経済的な依存関係がある。中国は韓国にとって最大の貿易相手国であり、2017年のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備をめぐる対立で中国から経済報復を受けた記憶も新しい。当時、韓国は「限韓令」による観光・コンテンツ分野の打撃を経験し、その教訓が今も対中姿勢に影を落としている。李在明政権は米中の間で「均衡外交」を掲げており、中国を過度に刺激することを避けたい思惑がある。
しかし、こうした沈黙は軍の士気や国民の信頼にも関わる問題だ。過去には輸送機の運用ミスなどで複数の隊員が処分される事案もあり、対外的な弱腰姿勢と内部の綱紀粛正が対照的に映る。安全保障を経済的利益と天秤にかける構図が続く限り、韓国軍の「沈黙」への疑問は解消されないだろう。
▸ 詳しくはニューズウィーク日本版で
中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍 ── その沈黙は「抑止」か「無能」か(外信記者・佐々木和義)



