韓国の社会保険(4大保険)完全ガイド ― 健康保険・国民年金と、日本人が必ず知るべき日韓社会保障協定【2026年版】
韓国で働く、あるいは韓国に法人を持つ日本人にとって、避けて通れないのが「4大保険(사회보험)」です。中でも国民年金は日本人が二重に払わずに済む「日韓社会保障協定」があり、知っているかどうかで負担が大きく変わります。この記事では、4大保険の基本から、2026年の保険料率、そして日本国籍者に直結する年金の免除・返還の仕組みまで整理します。
⚠ この記事は一般的な情報提供であり、税務・行政の助言ではありません。保険料率や協定の適用は個別事情で異なります。加入・申請前に公式窓口でご確認ください。
4大保険とは
韓国の「4大保険」は、日本の社会保険にあたる公的保険制度で、次の4つを指します。労働者を1人以上雇用する事業所は、原則としてすべて加入が義務づけられています。
- 国民年金(국민연금) ― 日本の国民年金・厚生年金にあたる老後保障。
- 健康保険(건강보험) ― 病院・薬・入院の費用を軽減する医療保険。
- 雇用保険(고용보험) ― 失業給付など。日本の雇用保険にあたる。
- 労災保険(산재보험) ― 業務上のケガ・病気を補償。保険料は事業主が全額負担。
年金・健康・雇用の保険料は労働者と事業主が原則折半、労災保険のみ事業主が全額を負担します。
【2026年版】保険料率
- 国民年金:9% → 9.5% に引き上げ(1998年以来はじめての改定。労働者負担4.75%)。年金改革により今後さらに段階的に上がる見込みです。
- 健康保険:7.19%(労働者負担3.595%)。長期療養保険は健康保険料の約13%が別途かかります。
- 雇用保険:労働者負担0.9%(事業主はこれに加え雇用安定・能力開発事業分を負担)。
- 労災保険:業種により異なり、事業主が全額負担。
⚠ 保険料率は毎年改定されます。年初に給与明細が変わったら、その年の料率変更をまず確認してください。数値は掲載時点で公団の最新告示を再確認のこと。
外国人の健康保険 ― 6か月ルール ★
日本人を含む外国人にとって特に重要なのが健康保険です。次の点は必ず押さえてください。
- 6か月以上の滞在で加入義務 ★:2019年7月から、韓国に6か月以上滞在する外国人は国民健康保険への加入が義務化されました。
- ビザ審査への影響:健康保険の加入・納付状況は、ビザの延長・変更審査に影響することがあります。未納・未加入は不利に働くため注意。
- 勤務先がある場合:会社の職場加入者(사업장가입자)として給与から天引きされます。勤務先がない場合は地域加入者となります。
【最重要】国民年金と日韓社会保障協定 ★
日本人にとって最大のポイントが、日本と韓国の間で結ばれている「社会保障協定」です。これを知らないと、日本と韓国で年金保険料を二重に払うことになりかねません。
日韓社会保障協定とは(二重加入の防止)
日本から韓国へ派遣されて働く場合、本来は日韓両国の年金制度に保険料を払う必要があります。しかし協定により、一定期間(通常5年以内)は本国=日本の年金制度にのみ加入し、韓国側の国民年金保険料が免除されます。
- 免除を受けるには、日本年金機構で「適用証明書(加入証明書)」を発行してもらい、韓国の国民年金公団に提出する必要があります。
- 派遣の1か月前までに証明書を用意するのが安全です。提出が遅れると、すでに払った保険料が免除されない場合があります。
⚠ 日韓協定は「保険料免除協定」です。免除は受けられますが、日本と韓国の加入期間を合算する制度(合算協定)は日本については対象外です。この違いは日本国籍者に固有の重要点です。
派遣ではなく、韓国で起業した場合
韓国に法人を設立し、その法人から給与を受け取る起業家(代表など)は、派遣免除の対象になりにくいのが実情です。この場合は下記の「返還一時金」を中心に計画するのが現実的です。
⚠ 「私は従業員ではなく代表だから加入しなくてよい」は誤りです。韓国法人から報酬を受ける代表理事は職場加入者にあたり、未加入は後から遡って徴収されます。
韓国を離れるとき ― 返還一時金(반환일시금)
韓国を完全に出国する際、納めた国民年金保険料(労働者・事業主負担分)を利子を付けて返還してもらえる制度があります。日本国籍者も対象です。
- 最終出国日の前後1か月以内に、公団の支社・相談センターで申請します。
- 必要書類:返還一時金請求書、パスポート、外国人登録証、本人口座の証明、出国を証明する書類(航空券など)。
- 受け取りは韓国口座への振込、海外送金、または出国当日に空港で外貨現金受取のいずれか。
- 5年の消滅時効:受給権発生(出国)から5年で消滅します。出国前後に速やかに請求を。
チェックリスト(日本人向け)
- ☐ 6か月以上滞在なら健康保険に加入しているか(ビザ審査に影響)
- ☐ 派遣なら日本年金機構の適用証明書を取得し公団へ提出したか
- ☐ 起業した場合、代表として職場加入の手続きをしたか
- ☐ 出国予定なら、返還一時金の申請期限(出国前後1か月)を把握したか
手続きに不安があるときは
社会保険・年金の手続きは制度が複雑で、日本国籍者ならではの確認点も多くあります。税務や行政の専門家に相談すると安心です。



