韓国の投資・起業ビザ D-8・D-9 完全ガイド ― 9つの区分【2026年版】
韓国に自分で会社を作る、あるいは投資して事業に関わる ― この場合に選ぶのは駐在(D-7)ではなく、投資(D-8)または貿易経営(D-9)です。どちらも「何をするか」ではなく「どういう形で事業に関わるか」で分かれます。2026年時点の公式区分にそって、D-8の5コードとD-9の4コードを整理します。
目次
D-8とD-9はどう違うのか
おおまかには、D-8が「外国人投資企業に関わる人」、D-9が「貿易・経営そのものを行う人」という切り分けです。D-8は外国人投資促進法にもとづく外国人投資企業が土台になっており、D-9は貿易業の登録や外資の導入が土台になります。同じ「韓国で商売をする」でも、根拠になる法律が違います。
投資(D-8)は5つに分かれています
「D-8」を単一のビザとして説明している情報は古い可能性があります。2026年時点では次のように細分されています。
D-8-1(法人に投資)
公式に示されている対象は、外国人投資促進法にもとづく外国人投資企業である韓国法人の、経営・管理または生産・技術の分野に従事しようとする必須専門人力です。「投資した人」ではなく「その企業で経営・管理・技術に従事する人」という書き方になっている点に注意してください。法人に外国人投資の実体があることが前提になります。
D-8-2(ベンチャー企業)
対象は、ベンチャー企業育成に関する特別措置法にもとづいてベンチャー企業を設立した人、または予備ベンチャー企業確認を受けた人です。「予備」の段階でも対象に含まれているのがこのコードの特徴です。
D-8-3(個人企業投資)
対象は、大韓民国国民(個人)が経営する外国人投資企業の、経営・管理または生産・技術の分野に従事しようとする必須専門人力です。法人ではなく韓国人個人が営む事業体に外国人投資が入っている形で、D-8-1の個人事業版にあたります。
D-8-4(技術創業)
対象は、国内の専門学士(国外の場合は学士)以上の学位を持ち、知的財産権を保有するか、それに準ずる技術力などを持つ法人創業者です。学位と技術の裏づけで起業する枠であり、投資額の大きさではなく技術性が問われる点が他の3つと異なります。
D-8-91(FTA転勤)
自由貿易協定にもとづく転勤の枠です。該当する協定と職位の条件があるため、当てはまりそうな場合は個別に確認してください。
貿易経営(D-9)は4つ
- D-9-1(貿易固有取引):対外貿易法令・対外貿易管理規定にもとづき、韓国貿易協会長から貿易業固有番号の付与を受けた貿易取引者。まず固有番号の取得が入口になります。
- D-9-2(輸出設備)・D-9-3(船舶設備):設備の輸出や船舶関連に対応する枠です。
- D-9-4(経営営利事業):外国為替取引法・規定にもとづき一定規模以上の外資を導入したうえで付加価値税法による事業者登録を済ませ、韓国内で会社経営や営利事業を行おうとする人、または外国人投資促進法にもとづき一定規模以上の資本金の外国人投資申告を行い、投資企業登録証の発給を受けた個人事業者です。
登記しただけでは続きません
投資系の資格でもっとも注意すべきは、法人を登記した時点ではなく、その後の更新で実体を問われるという点です。事業実績、税務申告、代表としての地位、国内滞在日数などが総合的に見られます。実体のない法人は更新の段階で行き詰まります。
また、投資した資金の扱いも見られます。減資や個人的な流用といった動きは、更新拒否や資格取消につながり得ます。正常な事業目的の支出は当然問題ありませんが、「投資金が事業に使われているか」を後から説明できる形にしておくことが大切です。
家族の帯同
配偶者と未成年の子はF-3(同伴)で帯同できます。最初の申請時でも、後から呼び寄せる形でも構いません。ただしF-3は帯同のための資格で、就労を前提としたものではありません。配偶者が韓国で働く予定があるなら、事前に扱いを確認してください。
入国前に取るか、入国してから変えるか
短期の訪問はビザなしで入国できますが、その状態から国内で投資系の資格へ切り替えられるとは限りません。資格の種類によって扱いが異なります。投資や起業が目的なら、在外公館で該当する資格を取得してから入国するほうが確実です。
自分がどれに当たるか ― 見分け方
- 日本本社から韓国の支店・子会社へ転勤 … D-7(駐在員ビザの記事へ)
- 韓国法人に外国人投資が入っていて、その経営・管理・技術に従事する … D-8-1
- 韓国人個人が営む事業体に外国人投資が入っている … D-8-3
- ベンチャー企業を設立した/予備確認を受けた … D-8-2
- 学位と技術を土台に法人を立ち上げる … D-8-4
- 貿易業固有番号を取って貿易を行う … D-9-1
- 外資を入れて事業者登録のうえ会社を経営する … D-9-4
準備の順番でつまずかないために
投資系の資格は、ビザの申請より前に済ませておくべき手続きがあるのが特徴です。D-8であれば外国人投資の申告と企業の登録、D-9-1であれば貿易業固有番号の取得、D-9-4であれば外資の導入と事業者登録 ― いずれも「先に事業側の形を作り、それを根拠にビザを申請する」という順番になります。
ここを逆に考えて渡航日程を先に固めると、書類が揃わずに申請そのものができないという事態になりがちです。会社設立の日程とビザの日程は、必ずセットで組んでください。
困ったときは
D-8とD-9はコードの数が多く、しかも「投資する人」と「その企業で働く人」が別々のコードに分かれています。自分がどこに当たるかは、出資の形・持分・役職・事業内容の組み合わせで決まります。判断に迷う場合は、1345(外国人総合案内センター、多言語対応)での確認か、行政書士・法律事務所への相談を検討してください。
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KOREA Benriを執筆している佐々木和義は、自身で韓国法人の設立(外国人投資申告から投資ビザ取得まで)、許認可、商標、不動産契約の一切を経験しています。日韓の広告実務20年、韓国政府機関公認 外信記者。
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