韓国の年次有給休暇ガイド ― 未消化分は買い取り、日本と違う運用の基本【2026年版】
韓国の年次有給休暇は、勤続1年・出勤率80%以上で15日、勤続1年未満は1か月皆勤ごとに1日(最大11日)です。勤続3年以上からは2年ごとに1日ずつ加算され、上限は25日です。
そして日本と最も違うのは、使い切らなかった分を金銭で清算するのが原則という点です。つまり「消化されなかった有給休暇=支払うべき人件費」であり、予算に計上していないと年度末に差が出ます。
何日もらえるのか
根拠は勤労基準法第60条です。
勤続1年以上 ― 1年間の出勤率が80%以上であれば、15日の有給休暇が与えられます。
勤続1年未満 ― 1か月皆勤するごとに1日が発生します。入社1年目は、この積み重ねで最大11日となります。
勤続3年以上 ― 最初の1年を超える継続勤務年数2年ごとに1日ずつ加算されます。入社3年目で16日、5年目で17日というかたちで増えていき、上限は25日です。
出勤率が80%に満たない場合 ― 勤続1年以上であっても、その年の出勤率が80%を下回ると15日は付与されません。この場合は勤続1年未満と同じ扱いになり、1か月皆勤するごとに1日が発生します。長期の私傷病休職などがあった年に効いてくる規定です。
出勤率の計算では、業務上の負傷による休業、産前産後休暇、育児休業などは出勤したものとみなされます(勤労基準法第60条第6項)。休んでいた期間があるからといって、自動的に出勤率が下がるわけではありません。
未消化分は金銭で清算します
ここが日本と最も違う部分です。
日本では、有給休暇を使い切れなかった場合に会社が買い取ることは、原則として認められていません(一部の例外を除きます)。
韓国では逆で、使わなかった年次休暇分は通常賃金などで支払う構造になっています。つまり「消化されなかった有給休暇=支払うべき人件費」です。
日本本社に予算を出すとき、この分を計上していないと年度末に差が出ます。「有給は取れなければ消えるもの」という前提で組んでいると、金額が合わなくなる部分です。
なお、一定の手続きを踏んで休暇取得を促す「年次休暇使用促進制度」もありますが、書面による段階的な手続きが定められており、要件を満たさなければ支払い義務は残ります。導入を検討される場合は労務士など専門家にご確認ください。
1年ちょうどで辞めた場合
実務で問い合わせが多いのがこの点です。
15日の年次休暇は、1年が経過した翌日に発生すると解されています。したがって、勤続がちょうど1年で退職した場合には15日分は発生せず、1年未満の期間に積み上がった最大11日が対象となります。
契約社員の契約期間を1年ちょうどで設計している場合、この違いが精算額に影響します。有期契約の2年ルールとあわせて確認しておきたい部分です。
日本企業がつまずきやすい点
① 「うちは取らせているから関係ない」とは限りません
取得を推奨していても、実際に消化されていなければ未消化分は残ります。運用ではなく実績で判断される部分です。
② 入社1年目の扱いが日本と違います
日本では入社6か月後にまとめて付与するのが一般的ですが、韓国では1か月ごとに1日ずつ積み上がります。月単位で管理する必要があります。
③ 退職時の精算に含まれます
退職金や未払い賃金と同じく、未消化年次休暇の手当も退職時の精算対象です。退職者が出る月は、この分を含めて資金を見ておく必要があります。
2027年6月から、時間単位で分けて取れるようになります
2026年6月9日に公布された改正勤労基準法(法律第21784号)で、年次有給休暇に新しい規定が加わりました。施行は2027年6月10日です。
新設された第60条第5項は、労働者が有給休暇を時間単位で分割して請求したときは使用者はこれを与えなければならないと定めています。「認めてもよい」ではなく義務である点が、実務では効いてきます。
ただし、どの時間単位で、年に何日まで分割できるのかは大統領令(施行令)に委ねられており、まだ確定していません。施行令の改正案は2026年8月20日に立法予告(雇用労働部公告第2026-407号)が出された段階です。確定した時点で本記事を更新します。
あわせて第60条第9項が新設され、有給休暇の請求や使用を理由とする解雇その他の不利益な取扱いが明文で禁止されました。
なお、年次休暇が何日発生するか(15日・月1日・上限25日)は今回の改正では変わりません。
まとめ
- 勤続1年・出勤率80%以上で15日、1年未満は月1日(最大11日)
- 3年以上から2年ごとに1日加算、上限25日
- 未消化分は金銭で清算するのが原則 ― 日本と最も違う点
- 15日は1年経過の翌日に発生。1年ちょうどの退職では発生しない
- 2027年6月10日から、時間単位の分割請求に応じる義務が加わる(細目は施行令待ち)
本記事は2026年9月時点の制度に基づく一般的な情報です。個別の事案については労務士など専門家にご相談ください。
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KOREA Benriを執筆している佐々木和義は、自身で韓国法人の設立(外国人投資申告から投資ビザ取得まで)、許認可、商標、不動産契約の一切を経験しています。日韓の広告実務20年、韓国政府機関公認 外信記者。
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