丹青(ダンチョン)とは ― 韓国の伝統建築を彩る五色と陰陽五行【2026年版】
韓国の宮殿や寺院で軒先を見上げると、青・赤・黄・白・黒の細かい文様が目に入る。これを丹青(ダンチョン・단청)という。読み方は日本語式の「たんせい」ではなく、韓国語ではタンチョンと読む。単なる装飾ではなく、陰陽五行の思想にもとづいた色の使い分けであり、木材を守る実用的な役割も持っている。
丹青(ダンチョン)とは
伝統的な木造建築に、決まった規則で文様を描いて装飾する技法である。目的は二つある。
- 装飾 ── 建物を美しく、荘厳に見せる
- 保護 ── 塗料が木材を風雨や虫害から守る
景福宮(キョンボックン)の軒下で目を引くエメラルドグリーンは、中国や日本の伝統建築ではあまり見られない色調で、韓国の建築を特徴づけている。
五色と陰陽五行
丹青に使う色は五方色(オバンセク・오방색)と呼ばれ、青・赤・黄・白・黒の五色である。それぞれが五行と方角に対応する。
| 色 | 五行 | 方角 |
|---|---|---|
| 青 | 木 | 東 |
| 赤 | 火 | 南 |
| 黄 | 土 | 中央 |
| 白 | 金 | 西 |
| 黒 | 水 | 北 |
黄が中央に置かれているのは、土がすべての中心という考え方による。宮殿の建物に黄色が多く使われるのは、この思想と無関係ではない。
五方色は建築だけのものではない。チマチョゴリの配色、結婚式の飾り、旧正月の食卓にも同じ五色が現れる。韓国で色の組み合わせに既視感を覚えるのは、多くの場合この五方色が背景にある。
建物の種類で様式が違う
丹青は建物の性格によって華やかさの度合いが決まっている。同じ丹青でもまったく印象が違うのはこのためだ。
- 金丹青(クムダンチョン・금단청) ── 寺院。もっとも華麗で、文様が全面を埋める
- モロ丹青(모로단청) ── 宮殿。部材の両端を中心に彩色し、中間は控えめにする
- グッキ丹青(긋기단청) ── 書院。線を引く程度で、きわめて簡素
書院がもっとも簡素なのは儒教が装飾を慎むからで、逆に寺院が華やかなのは仏の世界を表すためである。建物を見ればその場の性格がわかるようになっている。
どこで見られるか
ソウル市内なら景福宮の勤政殿(クンジョンジョン)が代表格である。内部の天井や梁にも丹青が施されている。昌徳宮(チャンドックン)や徳寿宮(トクスグン)でも見られる。
寺院であれば、市内の曹渓寺(チョゲサ)が近い。宮殿のモロ丹青と寺院の金丹青を見比べると、様式の違いがはっきりわかる。
よくある質問
Q. 丹青の読み方は。
A. 韓国語ではタンチョン(단청)です。日本語の音読みで「たんせい」と読むこともありますが、現地では通じにくいのでタンチョンと覚えてください。
Q. 何のために塗るのですか。
A. 装飾と木材保護の両方です。見た目を荘厳にすると同時に、塗料が風雨や虫害から木を守ります。
Q. 五色にはどんな意味がありますか。
A. 陰陽五行にもとづき、青=木(東)・赤=火(南)・黄=土(中央)・白=金(西)・黒=水(北)を表します。五方色と呼ばれ、衣装や食卓の配色にも使われます。
Q. 寺院と宮殿で違いがありますか。
A. 違います。寺院は金丹青でもっとも華やか、宮殿はモロ丹青、書院はグッキ丹青で簡素です。建物の性格が様式に表れています。
Q. ソウルで見るならどこですか。
A. 景福宮の勤政殿が代表的です。寺院の丹青と見比べたい場合は曹渓寺が市内にあり、あわせて回りやすい場所です。


