海外転出届は出すべきか ― 韓国赴任・留学と、住民税・年金・健康保険・マイナンバーカード【2026年版】
韓国に赴任・留学するとき、日本の市区町村に海外転出届を出すかどうかで、住民税・年金・健康保険の扱いが変わります。届出そのものに罰則はありませんが、2024年5月からマイナンバーカードの扱いが変わり、出す・出さないの判断がより重くなりました。この記事では、判断に必要な材料を整理します。
【2026年版】いちばん大きく変わった点 ― マイナンバーカード
2024年5月27日から、日本国籍者は所定の手続きをすれば、海外転出後もマイナンバーカードを継続して利用できるようになりました。以前は転出すると失効していたものです。
ただし自動ではありません。国外転出届を出すときに、あわせて「国外継続利用」の申請をする必要があります。市区町村がカード券面に「国外転出 ○年×月△日」と追記し、ICチップ内の住所の記録を書き換える処理を行います。
🔴 転出予定日の前日までに手続きを終えていないと、転出予定日にカードが失効します。出国直前に慌てないよう、転出届と同時に窓口で申し出てください。
転出届を出さなかった場合
海外に転出する場合、出国予定の14日前から市区町村に海外転出届を提出することとされています。提出しなかったことに対する罰則はありません。
居住実態が確認できない場合、市区町村が職権で住民票を消除することもありますが、本人の持ち家がある、家族が住んでいるといった場合に職権消除されることは通常ありません。
ただし罰則がないことと、出さなくてよいことは別です。以下の負担が変わります。
税金
所得税は日韓の租税条約で定められており、住民票の有無とは関係しません。
住民税は居住実態が原則です。日本国内に住所があると課税されると書いている記事が多いのですが、居住していないことが明らかであれば課税はありません。海外転出届があれば課税されず、届出がないと課税されるかどうかは課税当局の判断次第になります。この「判断次第」を避けたいなら、届出を出しておくほうが確実です。
年金
厚生年金・共済年金は、住民登録の有無とは関係しません。
国民年金は、日本に住所があれば加入義務が生じ、住所がなければ加入できません。ただし日本国籍者は任意加入できます。将来の受給資格や年金額を考えて任意加入を選ぶ人もいます。
なお韓国の国民年金については、日韓社会保障協定により二重加入を避ける仕組みがあります。韓国の社会保険(4大保険)完全ガイドをあわせてご覧ください。
健康保険
職場で加入する会社員・公務員は、住民登録の有無と関係ありません。
国民健康保険は住民税と同じ考え方です。海外転出届があれば加入できず、届出がなければ原則加入ですが、海外居住が明らかであれば加入義務は生じません。
在外選挙 ― 転出届を出すとできること
海外転出届を出すと在外選挙人名簿に登録でき、衆議院・参議院の国政選挙に投票できます。
- 投票できるのは、転出後に海外に3か月以上在住してからです。
- ただし申請自体は3か月に達していなくてもできます。転出届を出す際に市区町村の窓口で申請することもできます。
- 選挙区は原則として海外転出届を出した市区町村、特定できない場合は本籍地です。
出す前に確認しておきたいこと ― 日本の金融機関
銀行や証券会社のインターネットバンキング・オンライントレードは、日本国内での取引が原則です。海外からアクセスできる場合もありますが、日本国内に住所がないと取引できなくなることがあります。
郵送された取引明細が宛先不明で返送されると、口座が凍結され、住所を確認する書類を提出するまでアクセスできなくなることがあります。転出前に、各金融機関の海外転出時の取り扱いを確認し、必要な手続き(住所変更、代理人設定など)を済ませておいてください。
韓国側の口座開設については外国人が銀行口座を開設する方法にまとめています。



