韓国のコーヒー事情 ── カフェ文化・豆の価格・ミックスコーヒー
韓国は街を歩けばカフェに当たるといわれるほどのカフェ大国だ。同時にインスタントコーヒーの消費量も世界トップレベルという、二つの顔を持つ。韓国のコーヒー事情を、カフェ・豆の価格・インスタント文化の三方向から紹介する。
カフェチェーンの隆盛
かつて韓国のカフェで注文できるのは、コーヒーの風味がついた「コーヒー汁」のようなものが中心だった時代もあった。状況を変えたのは、Starbucksに対抗して登場したAngel-in-usで、その後Caffe Bene、The Coffee Bean & Tea Leaf、HOLLYS COFFEE、A TWOSOME PLACE、EDIYA COFFEEなど多くのチェーンが生まれ、コーヒーの質も大きく向上した。
韓国のカフェはエスプレッソマシンで抽出し、熱湯で薄めるアメリカーノが主流だ。価格は年々上がっており、スターバックスのアメリカーノ(トール)は2025年1月の改定で4,700ウォンになった。日本の喫茶店で定番のドリップコーヒーを出す店は限られ、出す場合はアメリカーノより高めの設定が一般的だ。
昼食後にカフェでコーヒーを飲むのは、韓国の会社員にとってすっかり日常の習慣になっている。

カフェのWi-Fiと「長居」文化
韓国のカフェにはたいていWi-Fiがあり、IDとパスワードはレシートに印字されているため、注文した客は誰でも無料で使える。ノートパソコンを持ち込み、コーヒー1杯で何時間も作業する会社員や学生も多く、「カゴンジョク(カフェで勉強・仕事をする人)」という言葉があるほど定着している。
コーヒー豆は意外と高い
デパートでもコーヒー豆を扱っているが、500gで30,000ウォン台からと日本の2倍以上することもある。マートなら200g 10,000ウォン程度からと、百貨店よりは手頃だ。売り場に電動ミルが設置されていて、その場で挽くこともできる。
不思議なのは価格差の理由だ。豆はすべて輸入品だが、生豆の関税は2%(日本は無税)、焙煎した豆は8%(日本は20%)で、原産地も日本と変わらない。税率だけを見れば、日本と同程度の価格帯で売れてもおかしくない。
なお、エスプレッソマシンやネスプレッソなどのカプセル製品は充実している。じっくり抽出するドリップより、手軽に飲めるコーヒーメーカーやカプセルのほうが好まれる傾向があるようだ。ドリップ派には、マートやダイソーで売っているペーパーフィルターが便利で、特にダイソーのものは日本からの輸入品が多い。

「ミックスコーヒー」という国民的飲み物
韓国のインスタントコーヒー消費量は世界でもトップレベルにある。粉末コーヒーとミルク、砂糖がひとつのスティックに入った「ミックスコーヒー」はどこにでもあり、取引先のオフィスを訪ねれば、まず出てくるのがこれだ。
最初は甘すぎると感じる日本人が多いが、韓国生活が長くなると気にならなくなり、やがてたまに飲みたくなる「韓国の味」のひとつになる。

番外編:日本のコーヒーとブラジル移民
韓国がインスタントコーヒー消費で世界トップクラスなら、日本もまたコーヒー大国だ。消費量は世界第4位、輸入量はアメリカ、ドイツに次ぐ第3位である。
その背景には移民の歴史がある。19世紀末、世界屈指のコーヒー豆生産国だったブラジルは、奴隷制度の廃止もあってコーヒー農場の労働力不足に陥っていた。同じ頃の日本は経済が停滞し、農村の貧しさが深刻な課題となる一方、移民を制限し始めたアメリカに代わる移民先を求めていた。両者の思惑が合致し、1908年から中断する1941年までに13万人余の日本人がブラジルへ渡った。
コーヒー農場で働いた人の割合は全体から見れば多くないが、この移民をきっかけに日本とブラジルの交流が深まり、多くのコーヒー豆が日本に入るようになったとされる。
ちなみに韓国には日本のUCCやオフィスコーヒー大手のダイオーズも進出しており、UCCはカフェやスーパー・コンビニ、ダイオーズはオフィスコーヒーを手がけている。

よくある質問
Q. 韓国のカフェのコーヒーはいくら?
A. スターバックスのアメリカーノ(トール)が4,700ウォン。チェーンや立地によって差がある。
Q. カフェのWi-Fiは使える?
A. たいてい無料で使える。IDとパスワードはレシートに印字されていることが多い。
Q. ミックスコーヒーとは?
A. 粉末コーヒー・ミルク・砂糖がひとつのスティックに入ったインスタントコーヒー。オフィスの定番だ。
Q. コーヒー豆はどこで買うのが安い?
A. 百貨店より大型マートのほうが手頃。売り場の電動ミルでその場で挽ける。



