配達ライダーを飲み込んだ深さ20メートルの穴 日本の技術も止められない韓国ソウルの道路崩壊
2025年1月28日、埼玉県八潮市の県道で突然、深さ10メートルの陥没が発生してトラックが落下し、運転手の男性が亡くなった。下水管の破損が原因とみられるが、事故から1年が経った今も修復作業は続いている。そして韓国でも、同様の陥没事故がたびたび起きている。八潮市の事故から2カ月後の3月24日午後6時半頃、ソウル市江東区明逸洞にある大明小学校の交差点近くで陥没が発生した。韓国ではこうした事故を「シンクホール」と呼ぶ。6車線道路の4車線にわたり、横18メートル、縦20メートル、深さ20メートルに達する規模だった。陥没の瞬間に通過したSUVの運転手は軽傷を負って病院に運ばれたが、後続のオートバイが穴に落下。運転していたライダーは翌25日の午前11時20分頃、死亡した状態で見つかった。彼は2018年に父親を事故で亡くして以降、母と妹の生活を支えるため、午後5時の退勤後に配達の副業をしていたという。事故当時、シンクホールの地中深くでは地下鉄工事が行われており、5〜6人の作業員が水漏れを見て脱出したことから、水道管が破裂したとみられている。
韓国国土交通部によれば、2019年から2023年の5年間に発生したシンクホールは957件。2日に1件の割合だが、これにカウントされない亀裂もある。ライダーが亡くなった当日の午前にも現場近くで小さな穴が見つかっており、陥没はその復旧を終えた1時間後の出来事だった。ソウルは500メートル前後の山々や丘陵に囲まれた盆地構造で、市街地にもアップダウンが多い。加えて1960年代からの急速な経済成長に伴う都市開発、1974年の地下鉄1号線開業以降に次々と整備された地下鉄網——短期間での大規模な地下工事と上下水道の敷設により、道路の下は複雑な空洞が生じやすい構造になっている。2014年に松坡区の石村駅付近で起きた陥没事故では、市の調査委員会が地下鉄工事を担当したサムスン物産の施工不良と結論づけた。軟弱地盤の沖積層と知りながら地盤補強が不十分で、掘り起こした土は当初予測より14%多かったという。
ソウル市がシンクホール対策に本腰を入れたのは、その2014年からである。市販の地中レーダーでは調査が進まず、道路の地下空洞調査で高い技術を持つ東京のジオ・サーチ社に協力を依頼した。同社はわずか4日間の調査で未発見の地下空洞を41カ所発見し、うち18カ所は地表から30センチ以内の崩落リスクが高い空洞だった。日本企業の技術を目の当たりにした朴元淳市長は自ら東京を訪れ、東京都と「道路陥没対応業務技術協力に関する行政合意書」を交わす。東京都が原因把握や調査方法、対応マニュアル、復旧技術などのノウハウを提供する内容だった。だが現在も、問題がないと確認された3カ月後にシンクホールが発生した例があるなど、調査しても予測しきれない事故が繰り返されている。日本の技術協力を受けても根本的な解決には至らず、ソウル市民は今日も足元に潜む見えない危険と隣り合わせで暮らしている。八潮市の事故から学ぶべき教訓は、都市インフラの老朽化対策に一刻の猶予も許されないということだ。
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配達ライダーを飲み込んだ深さ20メートルの穴 日本の技術も止められない韓国ソウルの道路崩壊(特派員・Kaz(佐々木))



